LOVOTを生んだGROOVE Xの“中の人”に聞く――イノベーションを起こす組織の法則とは(1/5 ページ)
人の“愛する力”を引き出すために生まれたロボットが88億円を調達、初回予約は即完売――。ロボットの世界にイノベーションを巻き起こしたGROOVE Xは、どんな風土のどんな組織で、どんな働き方をしているのか――。“中の人”に聞いてみた。
あたたかくて、人なつこくて、個性があって、かわいくて――。一目見た人を虜にするロボット、「LOVOT(らぼっと)」が今、話題になっている。この、“人の「愛する力」を引き出すロボット”という、まったく新しい領域を切り開こうとしているのが、林要氏率いるGROOVE Xだ。
林氏によると、イノベーティブなものづくりをするために欠かせないのは、横のつながりを大事にするコミュニケーションが活発な「フラットな組織づくり」だという。では、実際のところ、LOVOTを世に送り出す仕組みを構築している「かけはしプロジェクト」は、どんな体制でどのように進んでいったのか――。
GROOVE X、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ、ITmedia ビジネスオンラインの3社共催による、「かけはしプロジェクト」の舞台裏を紹介するイベントで、関わった担当者たちがその内幕を惜しみなく語った。
登壇者:
GROOVE X 畑中真一郎氏
GROOVE X 杉田大樹氏
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ アソシエイトディレクター 梅澤次郎氏(LOVOTのサービス開発を支援するコンサルタント)
モデレーター:
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ アソシエイトディレクター 村上邦彦氏
LOVOT開発メンバーの素顔
―― 本イベントでは、「LOVOT」の開発プロセスと、それにおけるチーム形成がどのように進んでいったのかについて、GROOVE Xの畑中真一郎さんと杉田大樹さん、外部サポーターとしてプロジェクトのコンサルティングに入ったケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(以下、ケンブリッジ)の梅澤次郎さんに話していただきます。
まず、それぞれのお立場と、「GROOVE Xに入社して一番驚いたこと」を教えてください。
畑中 ビジネスオペレーションというチームに所属していて、サービスの企画の詳細を詰めて業務フローを整える仕事を担当しています。当社に入って一番驚いたのは、まず商品自体の新規性もさながら、ビジネスの仕組みそのものにもイノベーションを起こそうとしていることですね。
ビジネスって効率よく回すのが大前提なのかなと思っていたので、ここまで変化をいとわず試行錯誤するのかと衝撃的でした。そして、林(GROOVE Xの創業者兼CEO)が言うように本当にスーパーフラットな組織を保って、ここまで成長してきたということに驚いています。
杉田 私は「LOVOT」を販売するためのシステム全体のアーキテクチャ設計や、それに関わる社内外メンバーの調達といった、各種の調整を担当しています。
入社したのは畑中より後なのですが、「ロボット界のディズニーのような会社をつくりたい」という林の夢を直接聞き、「そのために、どういうシステムの在り方がベストなのか、考え抜いてくれ」というオーダーを受けて今に至っています。
入社して驚いたことは、やはり、アジャイル型のスクラム開発が非常にカオスである――という点ですね。私はもともとSler(システム・インテグレーター)出身で、アジャイル型とは真逆のウオーターフォール型の土壌で育ってきたものですから、1週間単位でPDCAが回って、今週決めたことが翌週ひっくり返ることが日常茶飯事のサイクルに転じてみて、最初は戸惑うばかりでした。
ただ、やっていくうちに「イノベーションを起こすには、やはりこういう環境の中で最適化を図っていくのが1つの道なのだろう」と学ぶことが多く、今となってはむしろ楽しんでいます。
梅澤 私は外部からコンサルタントとして入っているケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのメンバー6人ほどをまとめるマネジャーという立場です。
GROOVE Xさんと一緒に仕事をする中で最も驚いたのは、自律的で優秀な方が多いということ。かつ、外部の人間を巻き込むのもうまい。私自身、正式に支援が決まった時に「全社会議で自己紹介して」と言われ、いきなり懐に入らせていただいた感覚がありました。初期はコンサルらしくスーツで通わせていただいていましたが、今ではすっかりGROOVE Xさんの色に染まって、ラフな格好になっております(笑)。
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