日韓関係悪化でも… サムスンが日本企業と組んで開発する「絶対安全なスマホ」:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
日韓関係が悪化する中、サムスン電子のグループ企業が日本のセキュリティ企業と組んで「セキュリティ特化型スマホ」を開発している。便利になるにつれて、サイバー攻撃の危険性が増しているスマホ。安全性を高める技術とはどのようなものなのか。
「セキュリティ特化型」のスマホとは
ところが、これほどスマホが普及し、しかもかなり危険になっているのに、スマホに「セキュリティソフトを入れています」という話はあまり聞かない。PCであれば、入れるのが当たり前になっているにもかかわらず、だ。しかもこれから5Gが世界各地で導入され、生活の全てがIoT(モノのインターネット)などでつながる社会がくる。そうなれば、今以上に生活の全てがスマホなどに支配されることになるだろう。
サムスンは、そこに目をつけ、セキュリティを強化したスマホを発売するというのである。ちなみに韓国は世界で最もスマホの普及率が高く、米ピュー研究所の調査では、その普及率は95%にもなるという(19年2月)。2位はイスラエルで、3位はオランダ、米国は6位で81%だ。それほど普及しているからこそ、技術開発も進み、どんどんユーザーの選択肢が増えていっている。
ブループラネットワークとサムスン傘下のSECUIが手を組んで開発しているスマホの名は、「TRUSTICA Mobile-Galaxy(トラスティカ・モバイル・ギャラクシー)」だ。米政府機関が使っていたサイバーセキュリティソフトを一般向けに販売しているブループラネットワークスがSECUIと提携し、セキュリティにフォーカスしたスマホを提供することになる。
トラスティカ・モバイル・ギャラクシーは、2020年2月、まず法人向けに販売をスタートするという。
このスマホ、何が他と違うのか。音声通話やファイル、映像などの暗号伝送を盗聴・傍受から守るソフトウェア「TRUSTICA Mobile」をプリインストールしている。それでも万が一、第三者にデータ漏えいするようなことが起きたとしても、漏えいしたデータの内容を確認できない仕様になっている。
セキュリティに特化したスマホといえば、仮想通貨スマホを18年末に発売したスイス企業シリンラボが有名だ。筆者も以前、イスラエルにある同社の研究拠点を訪れたことがある。シリンラボは、仮想通貨用のウォレットを内蔵したスマホを発売しており、仮想通貨をサイバー攻撃から守るためにかなり頑丈なセキュリティを施していた。ただそれも仮想通貨に特化しており、あまり一般向けではなかった。そう考えると、トラスティカ・モバイル・ギャラクシーは、これまであまりなかったセキュリティ特化型スマホということになる。
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