米国株で差別化図る マネックス証券の清明祐子社長に聞く(4/4 ページ)
20周年を迎えたマネックス証券。米国株についてどう強化し、またグループに入った仮想通貨取引所コインチェックとの連携をどう進めていくのか。4月1日付で社長となった清明祐子氏に今後の戦略を聞いた。
ーー買収した仮想通貨取引所のコインチェックとの連携の方針は?
まさにこれから。マネックスポイントを使った連携を4月から始めた。小さな話だが、全国投資セミナーといって、年間10回くらい地方で対面型セミナーを行っている。そこにコインチェックもブースを出したところ、関心を持ってくれる人が多い。新しいアセットとして興味を持っている人が多いという実感がある。
足元は、FATF(ファトフ:マネーロンダリング対策やテロ資金対策を行う政府間機関)の話など、いろいろ対応しなくてはいけないことが両社にある。5月には資金決済法の改正法案、金商法の改正が国会を通った。暗号資産デリバティブ、STO(証券のブロックチェーン上でのトークン化)など少しずつ枠組みが整理されてきている。お客さまから見たときに、よりシームレスに、分断されておらずストレスない形で、一つの資産ポートフォリオの中に(マネックス取り扱い商品と、コインチェック取り扱い仮想通貨の)2つを組み入れられるかがポイントだと思っている。
業法の問題もあるので、さまざま整理しなくてはいけないが、何よりお客さまから見たときに欲しいものがストレスなく買える世界を作りたい。
ーーマネックス証券とコインチェックの顧客の重複は?
ほとんどない。マネックスのお客さまがざっくり40〜50代、コインチェックは20〜30代が多い。マネックスポイントを仮想通貨に交換できるようにしており、そのときコインチェックの口座の有無を確認しているが、(既存の顧客は)意外と少ない。
連携はできるところまでやりたい。(本人確認の簡易化や預かり資産の共有などは)面白いとは思っているが、業法の問題も踏まえながら、検討していきたい。資金の問題もそうだし、口座を開くところもそうだが、入り口から出口、ちゃんと取引ができるところまでスムーズな形でやっていきたい。
ーー他社との差別化はどこで図っていくのか?
足元の差別化で大きいのは米国株だ。金融は商品の差がなくて、ラインアップはどこの会社も差がない。そんな中で、米国株についてはマネックスはサービスも優位なので、もっともっととがらせていきたい。
商品ラインアップが変わらない中で力を入れていくのは、セミナーやツールだ。「銘柄スカウター」などは他社のお客さまも使っている。セミナーも、買ってほしいものを売るのではなく、中立的に忠実にお客さまの状況を踏まえて、情報提供できているのではないかと思う。
これまで機関投資家しかできなかった貸株サービスを、最初に始めたのもマネックス証券。IPOをネット証券で初めて提供したのも当社だ。個人投資家がしっかり投資活動できるための環境整備や、機関投資家にしか使えなかった情報やサービスを、個人の方にも提供しようとやってきている。
ーー他社が提供していなかったデリバティブ商品は?
ニーズ次第だ。デリバティブだと成功したのはFXだと思うが、次にくるのは仮想通貨デリバティブ(CFD)かもしれない。難しすぎるとお客さまは買わない。そことの兼ね合いだ。
こういう商品が面白い、あったらいいというのは常に考えている。例えばAIを使ったサービスで、「トレードカルテFX」というのがある。AIはなかなかサービスとして提供するのは難しいが、お客さまのトレードの癖、トレードがちょっと早い、ちょっと遅いなどをAIで見てみるものだ。これは一例だが、常に何か取り入れて良いものを作っていきたい。基幹システムも内製化していて、自社で作り上げていく思いがある。
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