オーダースーツで3年連続200%成長を続けるFABRIC TOKYO 大企業キラーの裏に「D2C」モデル:リピート率は業界平均の1.5倍(3/3 ページ)
オーダーメイドスーツを手掛けるFABRIC TOKYOが新たなビジネスモデルを展開する。同社はB2Cモデルを武器に成長を続けている。新たにAppleも展開する「RaaS」モデルを掲げ、サブスクリプションやサーキュラーエコノミー、スマートファクトリー構想などを発表。
働き方、環境にも配慮
サブスクリプションの導入以外にも、RaaSとしてさまざまな業務を展開していく。
10月には「スマートファクトリー」として、縫製工場のIT化を開始予定。昨今、アパレル事業所の減少や、ノウハウの継承不足などにより「過酷な状況」(森氏)にある縫製工場。IT化やデータの可視化を通して、こうした状況を改善する。ユーザーへ商品の製造プロセスを「見える化」することにより、「今、腕の部分を縫っています」「商品を発送しました」などの通知を行うことを想定。「着る方は愛着が湧くし、作り手としても『どんな人が着ているのか』が分かるとモチベーションが向上するはず」と期待を込める。また、納期の短縮効果も見込んでいる。
現時点では生産ラインの一部をIT化しているが、ゆくゆくは工場全体にまで拡大する。最終的には、他の工場へのノウハウ提供といったB2B展開もにらんでいる。
環境問題にも意識が向いている。華々しいアパレル業界の裏では、環境へさまざまな悪影響が及んでいる。同社の発表によると、全世界のアパレル業界において、年間9200万トンの衣類が廃棄されているという。日本だけを切り取っても、着数にして33億着が廃棄されている現状だ。
同社では9月26日から、店舗での洋服の回収を開始。自社、他社の商品を問わず受け付け、リサイクルする。20年にはリサイクルした素材で作ったポリエステル商品の販売を目指している。最終的には、全ての商品をサステナブルな素材で作ることを目標に掲げる。
森氏は「弊社のメインユーザーである男性は、ブランドの乗り換えも少ない傾向にある。ビジネスウェアも、トレンドの影響が少ないジャンル。『売って終わり』ではなく、ユーザーとの関係構築を大事にし、10〜30年スパンでつながりを持っていきたい」と話す。20年中には、現在16ある国内店舗を30店にまで増やすだけでなく、海外への出店も予定している。4年連続の200%成長も目標に掲げており、RaaSの成功モデルとなるだろうか。
関連記事
- スーツを買えない若者たち レナウンが絶好調サブスク「着ルダケ」で就労を支援
レナウンが、展開するサブスクリプションサービス「着ルダケ」で新プロジェクトを開始する。同サービスは利用者目標を上方修正するほど絶好調。「Wear For The Future」と称し、サービスで使用されたスーツを寄付する。タッグを組むNPO法人「育て上げネット」によれば、就労を希望する若者の4人に1人がスーツを持っていないという。 - IQOS、最新モデルで「連続吸い」需要取り込む 増税後の価格は据え置き ユーザーサポートも充実
IQOSの最新モデル「IQOS 3 DUO」が発売。2本連続で吸えるようになったとともに充電時間も短縮された。サポートなども充実させ、会員プログラムにはステージ制を導入。故障時には、最短7時間で代替品を届けるシステムを構築した。新規ユーザーの増加とともに定着を狙う。 - フリマアプリも高齢化? 2年で30倍に増えたシニアユーザー 見えてきた「意外」な利用方法
楽天のフリマアプリ「ラクマ」がシニア向けの教室を開催。ラクマでは、シニアユーザーが2016年から18年にかけて30倍に増加しているという。メルカリも同様の教室を開催しており、フリマアプリにも高齢化の波が来ている。楽天の調査では、シニアの意外なフリマ利用方法も明らかになった。 - ドローンの次は最速20キロのUGV 楽天が陸・空から革命起こす 壁は「手ごわい」道交法
楽天が自動走行ロボットを使った配送サービスを開始。神奈川県横須賀市のうみかぜ公園で9月21日から10月27日まで。同ロケーションでは既にドローン配送も行っている。楽天は「無人ソリューションで新たな産業革命を起こす」という目標を掲げているが、道路交通法などまだまだハードルは高い。 - 営業や接待にオンデマンドバス 乗降は”仮想バス停” 住友商事、MaaS参入にらみ実証実験
住友商事が社員の移動にオンデマンドバスを導入。本社勤務の従業員が対象。千代田区、中央区、港区付近に仮想バス停を設置し運行。最終的には事業化しMaaSへの参入を狙う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.