ホワイト企業化が進むワタミ トップに創業者が再登板 「売り上げや利益は追求しない」:21年度までに「まあまあの会社」目指す(3/3 ページ)
2013年にワタミの役職を退いた渡邉美樹氏。「復帰は1000%ない」という発言を撤回して10月1日から代表取締役に復帰した。ワタミは14年から労働環境の改善に取り組み、今やホワイト企業と呼べるほどに改善。その一方で、業績はまだまだ不振状態にある。
3年かけて「まあまあの会社に」
会見では、中期経営計画の概要も発表された。発表によると、21年度には売り上げ1000億円、営業利益30億円を目指す。「現在、利益率はおよそ1%。これを3年かけて『まあまあ』の会社にしていきたい」(渡邉氏)と控えめの目標設定となっている。
これについて渡邉氏は「売り上げ、利益の追求はいらない。これからはビジネスモデルの企業になっていきたい」と話す。22世紀を食糧や環境などのさまざまな問題が表面化する時代と予想。これからの100年に対し、課題解決を提案できるような企業を目指すという。
その目玉として発表されたのが、岩手県陸前高田市にオープンする「ワタミオーガニックランド」だ。農業テーマパークとして農作物の生産、加工、宿泊施設の運営など、6次産業モデルを展開する。同社で展開する農園や再生可能エネルギー事業のノウハウを生かし、エコな産業モデルを目指す。また、被災地にオープンすることで、復興効果も見込んでいる。
外食事業では、直営路線からフランチャイズ路線へとシフトチェンジする。ワタミ自身がチェーン居酒屋のフランチャイズから始まったことを例に出し、これから事業を始めたい人たちの支援に注力していくという。その際に目標とするのが「ファストカジュアル」というモデルだ。ファストカジュアルとは、ファストフードと一般のレストランの間に位置するもの。ファストフードより高品質でこだわった商品を、セルフサービスにすることでファミリーレストランより安価で提供する業態だという。機械化による生産性を向上させるとともに、こうした「専門化」で、縮小が見込まれる外食市場でも生き残れるモデルを構築していく。
「創業者は、死ぬまで創業者。こうした10年、20年先を見据えた戦略は創業者でなければ描けないビジョン」と渡邉氏は胸を張る。回復基調にある外食事業や、市場を先行する宅食事業など、明るい材料もある。増税で消費が落ち込む中、ひとまず目標とする「まあまあ」な企業になれるか。
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