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「さば」はなぜ「ツナ」を超えたのか? 熱血“さば”社長と外食産業の“必然”が生んだブーム:新連載・食の流行をたどる(3/6 ページ)
「さば」の大ブームが起きている。食のブームを分析してみると、いくつかの共通項目がある。さばブームをけん引した熱血社長の取材から見えてきた流行の条件とは?
さばに対する強い思い入れ
「付加価値がつけやすい」「ストーリー性がある」「供給が安定している」――ビジネスを展開する上で、さばは3つの要素を満たしている。さばの供給をさらに拡大していくことで、さばに携わる人たちがハッピーになってほしい。右田氏は「さばで世界中をハッピーに」というビジョンを掲げ、日々、さばのプロデュースにいそしんでいるのである。
右田氏のプロデュースは徹底している。SABARを訪れると、これでもかというほどさばへの愛が伝わってくる。店舗を「鯖情報発信基地」と名付け、店内にはさばに関する豆知識が至る所にちりばめられている。閉店時間は午後11時38(さば)分、ラストオーダーも午後10時38(さば)分。営業時間などの数字を38にそろえ、「サバ博士サイト」というWebサイトを展開し、さばに対する知識をSNSで発信する。さらに「サバ検定」なるものを作り、消費者の知的好奇心をあおっていたりもする。38歳以上を対象にした「鯖婚活パーティ」も実施しており、さばをきっかけにお付き合いを始めたカップルもいるとか。
このように、さばブームは右田氏の存在を抜きにしては語れない。ブームが拡大するには、情熱を注ぎ続けるリーダーが必要なのだ。
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