ANA常務に聞く人材育成競争の“死角”とは――「ダイバーシティを目的化しない」:人気の強制「修羅場」道場に密着【後編】(4/4 ページ)
ANAで人事の責任者を務める常務の國分裕之氏に、社外の人材育成プログラムに参加した狙いを深堀りすると共に、現在の働き方改革をどのように捉え、ANAの人事や採用にどんな課題があるのか、いかにして乗り越えようとしているのかをインタビューした。
“他流試合”が本業に生きる
――仕事以外のところでいろいろな経験を持つことは、回りまわって仕事にも生きてきますね。
私などは社員に対して「そういう経験をするように」と積極的に言うようにしています。本業に直接は関係ないことでもいいですし、異業種交流のようなことをしてもいい。必要とあれば、会社としてそういう場を用意することもできます。
この「文武両道場」も、その一環と言えますよね。会社の中だけにとどまっていると、組織が同質的になり、結果としてイノベーションが生まれなくなってしまうので、あえて日常とは違う環境に出ていくことは大事です。バレーボールを通して、人を見ることや理解すること、コミュニケーションの取り方などを学び、それと同時に、違う会社の方と一緒になって監督を務めることで刺激にもなる。
これは言ってみれば“他流試合”なわけです。だからこそ自信がつく。参加した受講生たちには、ダイバーシティが進んでいく組織をマネジメントできる人財に育つための、いいきっかけにしてもらいたいと思います。
著者プロフィール
日比野恭三(ひびの きょうぞう)
1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、また部活動やスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。近著に『最強部活の作り方 名門26校探訪』(文藝春秋)など。
関連記事
- ANA社員が「女子高生バレーチーム」の監督に!? 謎の人材育成プログラム「文武両道場」に潜入
企業から派遣された受講生が2日間にわたってバレーボールチームを監督として率い、マネジメント能力を高める「文武両道場」という人材育成プログラムがある。全日本空輸(ANA)やそのグループ会社、横河レンタ・リース、日本財団、茨城県などの社員や職員が参加したこのプログラムに密着した。参加企業の狙いはどこにあるのか? - ラグビー選手から起業家へ 前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が示す「セカンドキャリア」の作り方
空前のラグビーブームに沸く一方、まだまだ課題があるのが、選手たちが引退した後の「セカンドキャリア」だ。ラグビー日本代表のキャプテンをかつて務めていた廣瀬俊朗さんは選手たちの「セカンドキャリアの道筋を示したい」と語る。廣瀬さんに、日本代表を率いてきたリーダーシップの秘訣や、引退後のキャリア、起業した経緯について聞いた。 - 「ANAの巨大旅客機投入」でハワイに若者を呼び込めるか
ANAが一度に520人を運べる大型機「エアバスA380」を5月24日からハワイ路線に就航させるため、日本人観光客が増えることが予想される――。 - NEC「新卒年収1000万円」の衝撃 年功序列の廃止か、「3流国への没落」か
NEC、ソニー、NTTコミュニケーションズ、DeNA、富士通……。高い報酬を払ってでも新卒の優秀な技術者を採用したいという機運が高まってきた。年功序列に縛られた日本企業は果たして変われるのだろうか? - リニアを阻む静岡県が知られたくない「田代ダム」の不都合な真実
静岡県が大井川の減水問題などを理由に、リニア中央新幹線の建設工事に「待った」をかけ続ける一方で、「黙して語らない」大量の水がある。静岡県の地元マスコミも触れられない「田代ダム」の不都合な真実を追った――。 - ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由
ホリエモンはなぜ「子宮頸がんワクチン」を推進しているのだろうか。その裏には、政治に翻弄された「守れるはずの命」があった。 - 余命1年を宣告され単身渡米 がんを乗り越え「2度の世界女王」に輝いたバックギャモン選手
世界の競技人口3億人ともいわれている人気ゲーム「バックギャモン」で2度の世界チャンピオンに輝いた矢澤亜希子さん(38歳)。子宮体がんで余命1年と宣告されてから「世界」を獲るまでのサクセスストーリー。 - 陸上の日本記録保持者・為末大がパラリンピックを支援する理由
連載「パラリンピックで日本が変わる」第2回目はパラ陸上選手を支援する400メートルハードル日本記録保持者、為末大さんにインタビュー。為末さんは「東京2020大会のパラリンピックは、オリンピックよりも社会に大きなインパクトを与える」と語る。その真意や「パラリンピックを支援する理由」を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.