2015年7月27日以前の記事
検索
連載

消費税は弱者に厳しいというウソ 〜逆進性という勘違い〜専門家のイロメガネ(5/8 ページ)

消費税は弱者に厳しい、逆進性があるという勘違いに基づく指摘は、結果的に複雑怪奇で史上最悪の軽減税率の導入にもつながった。しかし、消費税に限らず税金はどのように集めるか、そしてどのように使うか、負担と給付をセットで考える必要がある。そして、負担と給付の両面で発生する「二重の累進性」が高所得者には働く。これは消費税の逆進性を打ち消して余りあるほどに大きい。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

高所得者にお得な制度はふるさと納税くらい

 残りの制度はざっと説明するが、遺族年金は、残された遺族の年収が850万円を超えていると支給対象外になる。一度支給対象外になるとその後850万円以下になっても支給されないという、制度的にもおかしな仕組みだ。

 住宅ローン減税は、所得3000万円以上の場合は対象外で利用できない。

 日本学生支援機構の奨学金も所得制限がある。奨学金の金利は極端に低く、利用者にとっては極めて有利な借金だが、これも所得を基準に利用の可否が決まる。

 児童手当は通常3歳未満まで月額1万5000円、それ以降は15歳まで1万円が支給されるが、共働きで子どもが二人の場合ならば、夫婦どちらかの年収が917万8000円を超えると、一律5000円に減額される。

 育休・産休の手当も、通常は給料の3分の2から2分の1が支給されるが、上限があるため収入が高い人ほど減収の割合が大きくなる。

 筆者はすべての公的サービスの仕組みを把握しているわけではないが、他にも所得に応じて負担が増える制度は当然あるだろう。収入が多いほど有利な制度はふるさと納税くらいだ。

※各種制度は最低限の説明に留めています。詳細は各省庁の公式サイトや勤務先にてご確認ください。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る