失敗続きの「地域活性化」に財務省がテコ入れ 他省庁との違いを示せるか:新連載・地域ビジネス、ここがカギ(3/4 ページ)
内閣府や総務省が成果を出せていない「地域活性化」に、財務省が力を入れ始めた。各地域の出先機関を通じて、スタートアップ企業の発掘や支援に乗り出している。財務省の取り組みは成果を挙げられるのか。これまでの施策との違いを解説する。
「過疎」の代替語を探る総務省
「地域振興」という観点から言えば、こうした取り組みはこれまでも、総務省の過疎対策室から各地域の経済産業局まで、さまざまな官庁が行ってきた。しかし、実際に持続可能な事業として成功するケースは珍しい。多額の補助金をつぎ込んで立ち上げたモデル事業が数年後には忘れ去られ、ハコモノ施設とともに放置されたケースは枚挙にいとまがない。
目立った打開策がない中、総務省は19年7月、人口が少なすぎるというイメージを与える「過疎」の代替語について、有識者に議論を依頼した。海外では「地域活性化区域」(フランス)や「成長促進地域」(韓国)といった用語があり、これまでのイメージを払拭(ふっしょく)したいという考えからだったが、委員からは広く知れ渡っている言葉を安易に変更することに対して、否定的な意見も出ている。
また、多額の補助金や交付金を使って事業を推進しようとしても、担い手がおらず、企画倒れになるケースもある。例えば、企業版ふるさと納税は利用社数が伸びず、18年度は三十数億円にとどまる見通し。5127億円だった“個人版”ふるさと納税と比べると大きく見劣りする。そこで内閣府は20年度の税制改正要望で、利用企業の税の軽減措置を寄付額の約9割に引き上げるよう求めている。
また、地方創生の推進役となっている内閣府では、2015〜19年度の第1期地方創生計画「まち・ひと・しごと創生戦略」の数値目標の大半を、今もって達成できていないありさまだ。例えば、20年3月末までに東京から地方への企業誘致7500件を掲げていたが、実際には数百件にとどまる見通しだ。年内にまとめる第2期計画では、目標値を修正した上で盛り込む考えだが、単なる先送りに終始するようだ。
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