日本企業は社員の「忠誠心」に甘えている 働きがいのある会社、コンカーのトップが警鐘:人材流出企業にならないためにすべきこと(2/7 ページ)
変化の時代に優秀な人材を確保するために重要なのは「働きがいのある会社」になること――。2年連続で働きがいのある会社ランキングで1位になったコンカーを率いる三村真宗氏に、働きがいのある会社であり続けるための取り組みについて聞いた。
働きがいのある会社、コンカーは「大失敗」から始まった
――: その後、米コンサル企業、米ベンチャー企業を経て、社長としてSaaS型経費精算システム大手、コンカー日本法人の立ち上げを手掛けることになったのですね。働きがいのある会社になるまでには、紆余曲折があったとか。
三村: コンカーの立ち上げは、とても苦労が多かったですね。最初は私とアシスタントとエンジニアの3人でスタートしたのですが、入って5カ月後に1000人規模のローンチイベントを実施するというマイルストーンを作って、がむしゃらに働いていましたね。
実は最初の1年くらいは、体制作りがうまくいかなくて苦労したんです。米国本社が「日本市場は難しい」と、過剰に警戒していて、人を増やせなくて……。ふつうはスタートアップといえども、マーケティングやパートナーシップ、製品開発、営業の責任者くらいは置くものですが、米国本社は「採用はまだ早い」と……。そういう状況だったので、「社長(三村氏)が考える時間もなく常に忙しく動き回っている状況」に陥ってしまったんです。
社長は本来、社長にしかできない仕事があって、社長じゃなくてもできる仕事で社長が忙しくなっているのなら、それは権限移譲がうまくいっていないのだから、役割や体制を見直すべきなんです。でも、当時、私はそれがまったくできていませんでした。
本来なら、SAPでうまくいった方法を踏襲して、ミッションやビジョンの策定から入って企業文化を作り、組織や体制を作っていくべきだったのですが、それを後回しにしてしまったのです。
この“文化形成”を後回しにしたことが、後々問題を引き起こしてしまったのです。当時は即戦力優先で、「文化的にどうか」という人も採用してしまっていたんですね。
当時、コンカーは日本で全く知名度がなかったので、そもそも応募が少なかったんです。でも、「人を採用しないと仕事が止まってしまう」ような状況下では文化に合う人を待つ余裕もなく、少ない応募者の中から即戦力となる人材を急いで採用せざるを得なかったのです。
――: それによってどんな問題が起こったのでしょうか。
三村: SAP時代の逆ですよね……。社員同士が信頼し合わなくなって、疑心暗鬼に陥る。その結果、何をするにもコミュニケーションコストが高くついてしまうんです。何かしようとするたびに、「いやいや、他が忙しいから」とか「もっと、ちゃんと説明してくれませんか」というような障害が起こって、スムーズに流れていかないんですよね。とにかく仕事が遅々として進まない。社内の雰囲気もギスギスしてましたね。
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