日本企業は社員の「忠誠心」に甘えている 働きがいのある会社、コンカーのトップが警鐘:人材流出企業にならないためにすべきこと(3/7 ページ)
変化の時代に優秀な人材を確保するために重要なのは「働きがいのある会社」になること――。2年連続で働きがいのある会社ランキングで1位になったコンカーを率いる三村真宗氏に、働きがいのある会社であり続けるための取り組みについて聞いた。
失敗を糧に「働きがいのある会社」づくりに本腰
三村: 企業カルチャーの有無による「成功」と「失敗」を経験して、その重要性が骨身にしみて分かったので、一度、原点に立ち返ることにしたんです。
「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」(日経BP社刊)という書籍の中に、「誰をバスに乗せるか――最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」というのがあって、これを実践しようと。つまり、文化が合わない人には、バスを降りてもらおうと決断しました。
文化が合わなかった社員には、「今は縁があって一緒に働いているけれど、長い目で見ると恐らく価値観や方向性の問題で、共に働き続けるのは難しいのではないか。これは能力の問題ではなくて……」というようなことを、じっくり話しましたね。
人がいなくなるので短期的には戦力が落ちますが、最初の大仕事であるローンチイベントも峠を越えて、私自身にも少し余裕が出てきたので、「ここで人心を一新しよう」と決意してメスを入れました。
そこで始めたのが、「社員合宿」です。会社から離れて、もやもやしている課題をテーブルに出し、目の前の課題や将来のミッション、ビジョンをみんなで共有して、その達成に向けて解かなきゃいけない課題を考えよう――という取り組みを始めたんです。
最初の合宿で2つの目標を社員と共有しました。1つは、国別のベンチマークで、「本社のある米国以外で世界トップになる」こと。もう1つは、「IT業界で最も働きがいのある会社になる」ことです。
これは「外面」という業績でナンバーワンを目指し、「内面的」な企業カルチャーや働きがいの観点でナンバーワンを目指せば、これが循環して相乗効果で企業としての価値が上がっていくだろう、という発想です。
これを契機に、会社の雰囲気も良くなりましたし、社員が主体的に動くようになりましたね。
関連記事
- もう、やめない? 部下に理不尽強い続ける“管理職ごっこ”
「管理職らしくふるまうために、コミュニケーションの壁、情報の壁をつくる」「情報がほしければ、礼儀作法をわきまえて「お前から頭を下げてこい」な空気を作る」――会社にはびこる、こんな“管理職ごっこ”、もうやめませんか? - 働き方改革の旗手、白河桃子と沢渡あまねが対談! ――会社を滅ぼす「仕事ごっこ」をやめる方法
働き方改革が国策になって久しい中、なぜ、日本の働き方はいつまでたっても変わらないのか――。本質的な改革とは程遠い「仕事ごっこ」がはびこる日本企業の現状と、令和の時代にふさわしくアップデートする方法について“働き方改革の旗手”の二人に大いに語ってもらった。 - 優秀な人が大量に辞めていく企業の共通点は? 「人材流出企業の覆面座談会」で明らかに
ただでさえ人手不足で人材を集めるのが難しいこの時代に、惜しげもなく優秀な人材を流出させてしまう企業では、いったい何が起こっているのか――。 - なぜ、「日本的人事戦略」は機能しなくなったのか?
年功序列、終身雇用といった“日本的人事”戦略が崩壊し始めている。なぜ今、これまでのやり方が否定されているのか――。その理由を探った。 - 「社員のやる気が失せていく」会社がやっていること
社員の士気が下がり、やる気を失っていく――。そんな会社で起こっていることとは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.