「不透明な社内評価」にNO! 報酬は「市場価値」で決める――ベルフェイス社長が人事制度に大なたを振るった理由(2/5 ページ)
足に頼った営業をユーモラスにチクリと皮肉るテレビCMで一躍、有名になったインサイドセールスシステムのベルフェイスが、社員の報酬を「市場価値」で決めるという革新的な人事制度の導入に踏み切った。導入の背景と効果について社長の中島一明氏に聞いた。
市場価値に基づく評価で「業界最高水準”以上"」の報酬が出せる理由
田中: 転職エージェント3社の評価による「市場価値」をベースに報酬を算出する新しい人事制度には、“ベルフェイスが考えるハイパフォーマー”に、”業界最高水準以上"の報酬を支払う仕組みも組み込まれていますよね。
中島: 市場評価で算出した「業界最高水準の報酬」をベースに、当社が定めたミッション、ビジョンを体現することで加点する仕組みですね。
ベルフェイスが求める「論理的思考力」「実行力」「人間関係構築力」を備え、当社が大事にしている「カスタマーファースト」「オーナーシップ」「ハイスピード」「カイゼン」「ディテール」「フォーフレンズ」の6つの価値観を体現する取り組みを通じてミッションを達成している人材を「ハイパフォーマー」と定義しています。
評価はまず、6つの価値観に対する取り組みを、上長を含む6人の360度サーベイにより4段階でスコアリングします。次に半期単位でミッションを設定し、達成度に応じて4段階でランク付けします。
そして市場価値を元に算出した報酬をベースに、ValueランクとMissionランクに応じた分を加減して給料が決まる。実はこの仕組みで評価した結果、全員の給料が平均でこれまでの1.4倍になったんです。
田中: なるほど。つまり「職種ごとのマーケット上限平均額」という「市場価値(社外価値)」と、「ベルフェイスの価値観の体現度」という「社内価値」の掛け算によって、業界最高水準”以上"の報酬での優秀社員の引き留めを図っているわけですね。
中島: 市場原理に基づいてドライに評価しつつ、“会社の価値観やスタンスと合っているかどうか”を報酬制度にまで反映させたのは、当社の制度の大きな特徴だと思いますね。
例えば「市場価値は高いけれど価値観が合わないような人」とは、一緒に働きたくないと率直に思っているんですね。例えば、私たちのバリューには、顧客を中心に考える「カスタマーファースト」や、困っているメンバーがいたら手を差し伸べる「フォーフレンズ」というものがあるのですが、“売り上げさえ上げていれば、他のことはどうでもいい”という人は、バリューを体現していないことになる。そういう人は排除しなければならないんです。そうしなければ強い組織になれないですから。
田中: 新たな人事制度では、市場の評価をベースにした点ばかりが注目されがちですが、このバリュー評価による加減算があるからこそ、単なる外資系のまねごとではない、日本人にとって受け入れやすい制度にもなっている気がしますね。
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