AI導入が遅れている日本企業 背景には「年功序列」にしがみつく人々:テクノロジー以外の課題が浮き彫りに(1/2 ページ)
企業向けソフト大手の米オラクルと調査会社のFuture Workplaceが行った「職場におけるAI」の調査に基づいた日本企業の分析をオラクルが発表。日本は世界各国と比較してAIの導入率が低い。一方で「上司よりもロボット(AI)を信頼する」と回答した人は平均よりも多い。効率性を高める機運が高まっている日本において、なぜAIの導入は遅れているのか?
日本オラクル(東京都港区)は11月13日、日本の職場におけるAI(人工知能)の活用に関する調査の結果報告会を実施した。同会は、2019年10月に発表された「職場におけるAI調査」に関して日本企業にフォーカスした分析結果を公表するために開催された。職場におけるAI調査は世界10カ国、地域を対象に19年7〜8月にかけて行われたもの。対象となった米国、フランス、中国、インドなどの企業で従業員、マネジャー、人事部門リーダーの立場にいる人8370人が対象。
【参考記事】「上司よりAIを信頼する人」の割合は? 世界10カ国対象の「職場におけるAI」調査
調査の結果では、18年に行われた同様の調査と比較して、何らかの形で「職場でAIを利用している」と回答した従業員の割合がおよそ1.5倍に増えた。国別では、インドがトップで78%。次いで中国(77%)、アラブ首長国連邦(62%)と並ぶ。
世界各国に共通する傾向としては、「回答者の64%が自身のマネジャーよりもロボットの方を信頼している」ことと合わせ、「マネジャーには新たな役割が求められている」点が挙げられた。
日本企業に顕著だった点には、AIの導入率が最も低かったことが挙がった。発表会に登壇した、HRテクノロジーに詳しい岩本隆慶応義塾大学特任教授は「日本では、事業部門でのAI活用は進みつつあるが、バックオフィスに導入する意識が低い」と指摘している。
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