家賃全額とグリーン車交通費を負担してまでゲーム制作会社が人材を募集するワケ:社長や役員にも許されないVIP待遇(2/2 ページ)
ゲーム制作会社テクロスが、東京と京都の2拠点で働く社員を募集開始。2拠点での家賃は会社が全額負担し、社長や役員にも許されないグリーン車での移動も認めるという。ここまでして新たな人材を募集するのはなぜなのだろうか。
家賃やグリーン車費用を負担してまで2拠点を維持する理由
今回は、「拠点横断コーポレートマネージャー候補」「経営企画室」「フリー職」の3部門で人材を募集。それぞれ当初は1年契約として採用する。契約終了後には無期雇用(正社員)での採用を前提としているが、業務委託にも対応するという。
なお、「主な待遇」として、「東京・京都それぞれに社宅を用意」「東京=京都の移動はグリーン車(月に1度、片道)」を提示している。これについて担当者は「一般的にIT人材というのは移動をおっくうに感じがち。少しでも移動のハードルを下げるためにグリーン車の費用を負担することにした」と話す。一方で費用の負担は「月1回、片道分」に限られている。これについては「なかなかない制度なので、とりあえずこういう条件になった」と話している。
しかし、ここまでの負担を会社がするのであれば、東京と京都のオフィスを統合するのも1つの手ではないだろうか。担当者に疑問をぶつけてみたところ、「拠点を分けるのには理由がある」と回答があった。特に京都に拠点を残すことの意義が大きく、「京都には多くの美大などがあり、クリエイターを採用しやすい」こととともに意外な理由も挙がった。それは、「人材の定着」だ。「東京には著名な制作会社が多く、東京で働いているとすぐ転職されてしまうリスクがある、京都で仕事をすることで、長く落ち着いてクリエイター業務に当たってもらうことができる」と担当者。
「デュアルワーク」と聞くと、1つの会社にとどまらない働き方のイメージが強いが、今後はこうした1社内の2拠点を股に掛けるような働き方も増えていくのだろうか。
関連記事
- ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」
4月から企業に義務付けられた従業員の有給取得。年間10日以上付与されている人について、5日以上取得させる必要がある。こうした中で、ドトールコーヒーがもともと休日だった日を出勤日にした上で「有給奨励日」に。理由については「改元などで祝日が多くなり、調整する必要が生じた」とコメントしている。働き方改革に逆行する取り組みを、厚生労働省はどう受け止めているのか? - 卸売会社の3代目社長は、なぜ「うんこ」へ舵を切ったのか
神奈川県にある「株式会社うんこ」をご存じだろうか。悪ふざけではなく、実際に存在する会社だ。Webサイトを見てみると、うんこスーツやうんこスニーカーなど、幅広いうんこグッズを販売している。5月に行ったクラウドファンディングでは、達成率が500%超。270万円ほどの資金が集まった。いったい、どんな会社なのか。 - 「無駄なことをやり続ける」 喫茶店不況の中、創業55年のレトロ喫茶が人気のわけ
喫茶店の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチによると、2019年1〜8月の期間で倒産した喫茶店は42件。過去20年の中で最多ペースに並ぶ勢いだ。こうした中で、新宿にあるレトロな“純喫茶”が9月、新たな店を西新宿に出店した。店名は「珈琲西武」。新宿三丁目にある1号店は1964年にオープンし、今年で55年目を数えるほどの老舗純喫茶だ。喫茶店チェーンでは、200円台からコーヒーが飲める店も増えている中、珈琲西武のコーヒーは最低でも600円。それでも、平日や休日を問わず入店待ちの行列ができるほどの人気ぶりだという。 - ”着るこたつ”がワークマンから初登場 「価格破壊」を続ける理由を担当者に直撃
ワークマンが9月5日に秋冬商品の発表会を開催。今年の注目は”着るこたつ”。50度、45度、40度の3段階に温度調節でき、バッテリー付属。最大17時間持続する。昨年売り切れ店舗もあった「アルティメット」もリニューアルして登場。 - 年収の上限なし KDDIが「イノベーション人材」の募集を開始 年齢や経歴も不問
KDDIが「イノベーション人材」の採用を開始した。年齢や経歴は問わず、年収に関しても上限を設けないという。今回が2回目となる採用で、前回は40代の広告事業経験者を採用した。5Gの本格展開を控え、新たな領域でのサービス開発を担う人材を採用する狙いがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.