「出世確率」が分かる「全国統一テスト」受け付け開始 受講後には“通信簿”も:防げ「ミスマッチ」
若手社員を対象とした「全国統一社会人テスト」が始まる。主催するのは社会人向けスクールなどを運営するマネジメントベース。テストに回答し、同僚や上司などに「360度評価」で採点してもらう形式。受験後に送られてくる通信簿では、出世確率なども分かるという。
社会人向けスクールなどを手掛けるマネジメントベース(東京都千代田区)は11月20日、若手社会人を対象とした「全国統一社会人テスト」の申し込み受け付けを開始した。対象となるのは20〜30代で、入社3〜10年目の若手、中堅社員。役職者は対象外となる。
同テストは、自分の行動や周囲への振る舞いを周囲から多面的に評価してもらい、自らの現状を可視化し、課題や問題点を明らかにすることが目的だという。インターネット上で20分程度のテストを行い、自分が選んだ最大5人から採点してもらう形式。なお、受講料として4950円(税込)が必要だ。
設問では500点満点で、若手が今後成長するために必要なコンピテンシーや、身だしなみなどが問われるという。受験後2〜3週間すると、総合得点や周りからのフィードバック、さらには「出世確率」などが記載された「あなただけの成績診断レポート」が送付される。
同社の担当者によると、「若いころというのは『自分は周りから良く見られている』と自分を過大評価しがち。テストを通して、若いうちから自分の長所、短所を理解することで成長していくためのPDCAサイクルを回すことができる」という。
同社が過去、管理職世代2000人ほどに行ったアンケートでは、「自分の仕事ぶりが平均以下の社員が、自分の評価が低いことを認識していない」と考えている人は全体の44%を占めた。一方、同様に20〜30代の若手社員500人ほどにアンケートをした際、「自分の仕事ぶりは平均以上だ」と考えている人は8割近くいるという結果が明らかになっている。このミスマッチが、昇進を妨げてしまったり、やりがいを低下させてしまったりする原因となっているという。テストを通して自己像と他者からの評価を分析し、こうしたミスマッチを防ぐのが今回の狙いだ。
一方で、今回のテストは従来の性格検査や適性検査とどのように違うのか――。この点について担当者は「適性検査などは回答からその人の『潜在的な能力』を測るもの。社会人テストでは、その人の置かれている現状と課題を浮き彫りにすることができる」と話す。
実施申込期間は2020年2月28日までを予定している。期間中に、最大で数万人程度の申し込みを想定しているという。また、結果に応じてそれぞれのクラスに適したセミナーの案内など、フォローする制度も予定している。
年功序列制度の限界が見え始め、「成果主義」へのシフトが始まりつつも、企業と働き手それぞれが不明瞭な評価基準に悩むケースも少なくない。働き手にとっては、自らの現状を可視化できる良い機会になりそうだ。
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