IT人材の「自分のスキルが適切に評価されない!」を防げ プログラミングの“基礎体力”を測る検定が開始:企業側へのアピールにも(1/2 ページ)
プログラミングに関する検定が12月から始まる。主催はプログラミングコンテストなどを行うAtCoder。従来にもプログラミングに関する検定はあったが、実際に1からプログラムを構築する能力を問うものは少なかったという。IT人材は、「企業の採用でスキルが適切に評価されていない」と不満を持つ人も少なくない。スキルを可視化する検定を始めることで、こうした現状を変えていく狙いがある。
プログラミングコンテスト運営などを手掛けるAtCoder(東京都新宿区)は、12月14日からプログラミングスキルに関する検定「アルゴリズム実技検定」を開始する。受験費用は、個人で受験する場合、8800円(税込、以下同)。団体受験の場合、30人以上だと1人7040円、100人以上の場合は1人6160円かかる。ビジネスとITが不可分に結びつく時代において、IT従事者が自分の能力を可視化することを補助するとともに、企業側にとっても分かりやすい制度を構築する狙いがある。
同検定では、オンラインで「アルゴリズムをデザインし、コーディングする能力」を測る。具体的には、プログラムの仕様が与えられ、受験者はその仕様を満たすプログラムを1から作成する。例えば、「数人で旅行する際、複数の移動手段があると仮定する。ある移動手段では、1人当たり〜〜円がかかり、もう一方の手段では○○人につきX円かかる。この際、交通費の合計を最小に抑えるにはどのように移動すればよいか」といった問題が発表会では例示された。
同社の高橋直大社長によると、これまでもITスキルに関する検定は存在した。しかし知識を問うものがほとんどで、実際に手を動かしてどのようなことをできるのか、を問うようなものはなかなかなかったという。
その背景には、プログラムを「採点する」ことの難しさがあるという。ある条件に沿うプログラムは、たった1つ存在するのではなく、通常複数通り存在する。答えられたプログラムが解答として間違っていないかを1件ずつ採点していくのには技術的なハードルがあった。しかし、AtCoderは自社でプログラミングコンテストを運営している。そのため、プログラムの正誤を判断する技術を有しており、今回の検定開始に至った。「知識は問えないが、プログラミングに関する『基礎体力』を測ることができるのが強み。ITに関するスキルは日進月歩で、これからは変化に対応し続けられる基礎体力の高い人が必要になる」と高橋社長は話す。
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