IT人材の「自分のスキルが適切に評価されない!」を防げ プログラミングの“基礎体力”を測る検定が開始:企業側へのアピールにも(2/2 ページ)
プログラミングに関する検定が12月から始まる。主催はプログラミングコンテストなどを行うAtCoder。従来にもプログラミングに関する検定はあったが、実際に1からプログラムを構築する能力を問うものは少なかったという。IT人材は、「企業の採用でスキルが適切に評価されていない」と不満を持つ人も少なくない。スキルを可視化する検定を始めることで、こうした現状を変えていく狙いがある。
「面接で自分のスキルが適切に評価されない」
AtCoderはこれまで、プログラミングコンテストなどを通じてプログラマーの実力測定を図るとともに、IT人材と企業のマッチングにも努めてきた。企業と合同で、その企業が抱えている業務上の課題を解決できるプログラミングのコンテストなども行っている。
一方で、コンテストは10回ほど参加をしないと自分のレーティングが分からなかったり、技術レベルが高い人の参加が多い傾向にあったりする課題があった。そこで、より間口を広げるために今回の検定を開始したという。検定では、5時間を通して問題を解き、即日中に結果が出るという。
また、企業側にも、IT人材のスキルを適切に評価することに課題があるという。AtCoderの担当者によると、「自分は技術者として採用面接を受けているのに、面接では人物面の質問ばかりで技術に関するスキルが適切に評価されているとは思えない」と不満を抱える就活生も多いという。今回の検定では、スコアに沿って5段階に受験者をランク付け。合格したランクに沿って証明を発行することで、企業側にスキルを客観的に示せるようにする。
経済産業省発表の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年には最大で80万人ほどIT人材が供給不足になるとされている。こうした背景には、企業側がIT人材の評価をうまく行えていない現状もある。検定でIT人材のスキルを可視化することにより、日本を取り巻くIT人材の状況はどのように変わっていくのだろうか。
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