消費増税を前にスーパーはどう戦ったのか 「チラシ」から振り返る:最も多かった施策は?
消費増税のスーパーへの影響はやはり大きかった。スーパー関連団体の調査によると、10月の総売上高は8900億6218万円。既存店の前年同月比で1.7%減となった。一方、各社は9月から駆け込み需要を狙った各施策を展開していた。どんな施策があったのか、チラシから振り返る。
「やっぱり」というのが正直な感想だ。オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会が発表した「スーパーマーケット販売統計調査資料 2019年10月実績 速報版」によると、集計対象となった270社の総売上高は8900億6218万円。既存店の前年同月比で1.7%減と落ち込んだ。特に「非食品」では同5.5%減と落ち込みが目立った。
10月には大型の台風による被害もあったが、何といっても消費増税の影響が大きかったと分析できるだろう。多くのスーパーではこうした事態を防ぐため、「駆け込み需要」を狙った施策が行われていた。では、どのような施策が使われたのか。マーケティング支援を行っているドゥ・ハウス(東京都港区)の行った調査を基に、振り返ってみよう。
調査では総合スーパー、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターで発行されたチラシを分析。9月中のチラシで、「増税」に関連した企画は242件が掲載された。「秋のお彼岸」(87件)、「敬老の日」(56件)といった季節のイベントに関連した企画と比較すると、かなり多いのが分かる。
期間を8月1週〜10月1週まで拡大すると、増税関連の企画は284件がチラシに掲載された。掲載数のピークは9月だったが、10月以降でも増税に関連した企画が掲載されているケースもあった。今回の増税では外食、イートインの税率が10%で、持ち帰りなどが8%となることから、内食や中食を提案する企画が10月以降に行われたという。意外なところでは、お盆や年末年始といった休暇期間にしかないような「アルコール商品のみ」を記載したチラシも発行されていたという。
増税に関する企画で使われた施策で最も多かったのが「カードポイント」で134件だった。次いで、まとめ買いを意味する「バンドル販売」が129件と、100件以上を超えたのはこの2種類。税率が上がった商品は、よりまとめ買いに適したアルコール類や非食品に限定されるため、このような結果になったとみられる。「〇%オフ」(81件)や「タイムセール」(11件)といった、直接的な値引きとなる施策は意外にも少なかったようだ。
冒頭で紹介したオール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会の「スーパーマーケット販売統計調査資料 2019年9月実績 確報版」によると、9月の総売上高は9022億4509万円で、既存店の前年同月比は0.1%減だった。ただ、「非食品」分野は同9.5%増と、駆け込み需要をうまく取り込めた形となっている。
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