逮捕者も出た「飲食店無断キャンセル」 起こってしまう背景と対策を探る:被害額は年間2000億円にも(1/3 ページ)
2019年11月に、飲食店の無断キャンセルで逮捕者が出た。実は無断キャンセルで年間2000億円ほどの被害が生まれているとの発表も。こうした事態はなぜ、起こってしまうのか。また、どのように対処すればよいのか。
これからの忘年会シーズン、幹事の人は店選びに頭を悩ませることも多いのではないだろうか。人気の店は予約も取りづらく、「取りあえず」と予約だけ先にする人もいるはずだ。この「取りあえず予約」が、飲食店を悩ませている「無断キャンセル」につながりかねない。この無断キャンセルを、「軽いもの」だと考えてはいけない。逮捕者も出始めている。
警視庁の発表によると、11月11日、飲食店の無断キャンセルをしたとして逮捕者が出た。罪状は「偽計業務妨害」容疑。6月に都内の飲食店へ対し、1人につき1万円以上するコースを17人分、架空の予約をして損害を与えたとされている。
逮捕となったことで話題になった無断キャンセルだが、今回のケースは氷山の一角に過ぎない。2018年に経済産業省とサービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会が発表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」によると、飲食店における無断キャンセルの被害額は年間で2000億円にも達するとされている。
実際に、同様のケースは他にも起こっている。例えば、奈良県にあるとんかつ店「まるかつ」(奈良市)は、同店のTwitterアカウントで11月12日、電話で弁当の予約をしたにもかかわらず、受け取りに来ない「いたずら予約」の被害に遭ったと発信している。
店舗に電話して担当者に話を聞いたところ、こうしたケースは年に数回あるのだという。多いときには20個ほどがいたずらで予約され、スタッフに配ったり、割り引いて販売したりしている。対策については、電話番号や氏名を控えることを挙げたが、「あまりやり過ぎるとお客さまの不便にもつながるので、なかなか本腰を入れるのは難しい」と担当者。確かに、客商売である以上、店舗からあれこれとお客に尋ねることは、なかなか難しいケースもある。
無断キャンセルが少なからず存在する一方で、これまでなかなか問題化しなかった背景には、飲食店側がキャンセルされたことを「恥」だと考えるような文化があるからだという。
関連記事
- 飲食店の無断キャンセル、5割がグルメサイト利用 「取りあえず予約」が温床に
「取りあえず予約」という気軽な気持ちが無断キャンセル発生につながる――。TableCheckが実施した消費者意識調査で、無断キャンセルに関する利用者側の意識が明らかになった。 - 「給与を上げれば退職者は減る」は本当か 経営層の考える「退職対策」と現場の乖離(かいり)が明らかに
「給与を上げれば退職者が減る」と考える会社役員は多い。しかし、給与の上昇は本当に退職率を下げる効果はあるのだろうか。トランスの行った調査で役員層と従業員の意識の違いが明らかになった。 - ”着るこたつ”がワークマンから初登場 「価格破壊」を続ける理由を担当者に直撃
ワークマンが9月5日に秋冬商品の発表会を開催。今年の注目は”着るこたつ”。50度、45度、40度の3段階に温度調節でき、バッテリー付属。最大17時間持続する。昨年売り切れ店舗もあった「アルティメット」もリニューアルして登場。 - 飲食店「無断キャンセル」の損害額は年間2000億円 どうすれば防げる?
飲食店における無断キャンセルの被害額は年間2000億円であることが経済産業省と業界団の調査で判明。両者はこれを受けて防止策を公表した。明確な基準で算定したキャンセル料の請求、IT活用、事前決済の導入などがカギになるという。 - 一風堂が外資系高級ホテル「ザ・ペニンシュラ」で1杯3400円のラーメン 替え玉と半ライスも
一風堂が高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」でルームサービスを開始。12種類のトッピングを楽しめる1杯3400円のラーメン。替え玉や半ライスも提供されるという。スイートルームで開かれた試食会で、新商品の背景を探ってみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.