逮捕者も出た「飲食店無断キャンセル」 起こってしまう背景と対策を探る:被害額は年間2000億円にも(2/3 ページ)
2019年11月に、飲食店の無断キャンセルで逮捕者が出た。実は無断キャンセルで年間2000億円ほどの被害が生まれているとの発表も。こうした事態はなぜ、起こってしまうのか。また、どのように対処すればよいのか。
無断キャンセルが起こってしまう背景
「飲食店側が無断キャンセルを大きく問題化しづらいのは、キャンセルされたことが『恥』と考える文化があるからだ」と話すのは、無断キャンセルに関する保証サービスや後払いサービスを展開しているGardia(東京都港区)の小山裕社長だ。
飲食店は、キャンセルされた理由を「自店の料理や味が劣っているからだ」と受け止める傾向があり、なかなか表に出しづらい風土なのだという。また、無断キャンセルがあったことを大々的に表明することで、「うるさい店だ」とお客に思われるリスクもある。しかし、SNSなどであらゆる人が声を上げることが一般的になるにつれ、2年ほど前から声を上げる店も増えてきているという。
一方で、なぜ人は無断キャンセルをしてしまうのか。小山氏は「うっかりしている人が、予約したままキャンセルせずに当日を迎えてしまったというケースも確かにある」としつつも、「予約が『契約行為』であるという認識が薄いのでは」と指摘する。大ざっぱにいえば、飲食店を予約し、店が了承した時点で「予約」という契約が成立する。この契約を解除せずに、つまり無断キャンセルして店舗に損害が発生した場合には、予約した人はその損害を賠償する必要性が生じるのだという。こうした認識が薄いからこそ、軽率に無断キャンセルをしてしまう人が多い。また、「予約サイトの発達やスマートフォンの普及で、簡単に予約しやすくなっていることが無断キャンセルの心理的ハードルを下げてしまっている」とも話す。
小山氏によると、Gardiaが保証契約を結んでいる事業者は、飲食業やサブスクリプションサービスを提供している企業など全部で数万にのぼる。利用者はGardiaに対して月額の保証料を支払い、何かあった際にはGardiaに連絡をする形を取る。毎月10〜20件ほど無断キャンセルが発生しているという。では、こうした無断キャンセルにどのように対応しているのだろうか?
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