逮捕者も出た「飲食店無断キャンセル」 起こってしまう背景と対策を探る:被害額は年間2000億円にも(3/3 ページ)
2019年11月に、飲食店の無断キャンセルで逮捕者が出た。実は無断キャンセルで年間2000億円ほどの被害が生まれているとの発表も。こうした事態はなぜ、起こってしまうのか。また、どのように対処すればよいのか。
「取り立て」はどのように?
無断キャンセルが発生すると、いったん事業者からキャンセルした人へキャンセル料の保証を求める。それでも回収できない場合には、事業者がGardiaへ申請を行い、審査を経てGardiaが取り立てを請け負う。この際に、債権(求償権)がGardiaに移る。以降は、予約時に回収した電話番号やメールアドレスを通して、一定期間を定めて連絡を行う。そのため、Gardiaと契約している事業者では必ず、予約時に個人情報の扱いに関して明示しているという。ちなみに、Gardia内には数人からなる「督促部隊」もあるのだとか。
小山氏は「無断キャンセルの保証を行うだけでなく、そもそも無断キャンセルが発生しないような仕組みづくりが重要」と話す。では、無断キャンセルを防ぐにはどのようにすればよいのか。小山氏は、リマインドの連絡をすることや事前決済を挙げる。特にリマインドは単純なことだが、こうしたちょっとしたことでキャンセルに対する意識を高めることができるのだという。
Gardiaでは今後、一度無断キャンセルした人の情報から、リスクを判定したり、悪質なお客について注意喚起をしたりする制度構築を検討している。小山氏は「われわれは無断キャンセル保証だけをやっているわけではない。こうしたサービスを通して、新たな時代の信用情報機関となることを目指している」と話す。
Gardia以外にも、無断キャンセルに関する取り組みは広がる。リクルートライフスタイルが運営する検索予約サービス「ホットペッパーグルメ」は、複数店舗を予約している人に対してアラートを発したり、来店予定日の数日前にリマインドを送ったりしている。また、一定回数以上無断キャンセルをした場合には新規での予約ができなくなるという。
また、19年7月に弁護士の北周士氏が立ち上げた「ノーキャンドットコム」というサービスも登場。同サービスでは基本料が無料で、無断キャンセルが発生し、キャンセル料を回収できた際に一部を手数料として徴収する仕組みだ。11月22日現在、76件、200万円超の回収依頼がかけられている。
各店は、自らで努力するだけでなく、こうしたサービスを交えて悪質なキャンセルに備えたい。
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