苦戦が続く大塚家具 再起に向けて作成した“自己分析”と“反省文”を読み解く:再成長できるか(3/3 ページ)
業績不振に苦しむ大塚家具。再起に向けて“自己分析”と“反省文”を作製していた。「アニュアルレポート 2018」を読み解く。
消費者から反発
こういった市場動向の変化を背景に、消費者は大塚家具から離れていった。アニュアルレポートでは「会員制は消費者の抵抗感を招く要因となり、また、高級品を前面に出した広告宣伝により、幅広い取り扱い価格帯商品の一部だけにフォーカスした偏ったイメージが浸透していきました」と分析している。
危機感を抱いた大塚家具は、2015年から会員制を廃止。店舗運営を、クローズドなモデルからオープンモデルへと変更する方針を打ち出した。しかし、「低価格路線へのシフト」「接客をしなくなった」という誤解も生じたという“反省の弁”も述べている。
一度染みついたイメージを変えるのは容易ではないと大塚家具は考えているようだ。実際、19年5月に公表した「2019年度事業計画」では、次のような問答が掲載されている(以下、原文ママ)。
「高級品をやめて低価格路線に変更した?」→「いいえ。上質な暮らしを願う方々のさまざまなニーズに応える多彩な品ぞろえ」
「会員制をやめた?」→「はい。気軽に入りやすくなりました」
「接客をしなくなった?」→「いいえ。今まで通り、今まで以上に充実したサービスを提供」
復活に向けた施策とは
大塚家具は復活に向けてさまざまな施策を打ち出している。例えば、小規模店舗「Poltrona Frau東京青山」を出店する一方で、「春日部ショールーム」といった大規模店舗を閉店している。店舗面積を適正化し、新たな販売チャネルの構築を図るためだ。
また、アリババグループが運営する越境ECサイトに出店したり、中国にある空港のVIP専用ラウンジの内装業務を受託する方向で検討を開始する覚書を締結したりしている。海外事業(法人営業と富裕層開拓)の強化が狙いだ。
国内では、ヤマダ電機が運営する「家電住まいる館」へ家具の専門知識を有する人材を提供し、家具販売の支援を開始している。
これまで成長してきたビジネスモデルを“総括”し、新たな挑戦を続けている大塚家具。今後の動向が注目される。
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