「雇うべき障害者人数」外務省だけ引き下げへ 民間企業も未達成が多いのになぜ? 厚労省は「民間企業とは別の話」:在外公館業務の特殊性を鑑みて(1/2 ページ)
民間企業でもなかなか進まない障害者雇用。18年に水増しが問題になった外務省では、雇うべき人数を政令で減らす方針だ。いったいなぜ? 厚労省の担当者に直撃して聞いた。カギは「在外公館業務の特殊性」にあるようだ。
民間企業の半数以上が障害者雇用の法定雇用率未達成で問題となっており、2020年度末にはさらなる法定雇用率の引き上げを予定している中、官公庁では時代の流れに逆行して雇うべき人数を減らす動きが出ている。
「障害者雇用」は企業にとって大きな課題だ。厚生労働省の「平成30年 障害者雇用状況の集計結果」によると、2018年時点において民間企業で障害者雇用の法定雇用率を達成している企業は45.9%。つまり、半数以上が法定雇用率を達成していない。20年度末には現在の「2.2%」から「2.3%」への引き上げを予定しており、企業はより積極的な姿勢が求められている。
一方、11月29日に厚生労働省が開催した労働政策審議会(障害者雇用分科会)の資料によると、外務省における障害者雇用率の算出方法を変更するという。具体的には、12月から政府代表部を除く在外公館に勤務する外務公務員を、雇用率を算出する母数から除外する政令を定める。
外務省は、霞が関にある外務本省と、世界各国各地に設置している在外公館で組織を構成している。外務省の発表によると、19年6月1日時点で法定雇用率算出の母数となる職員数は6584人。そのうち雇用している障害者の数は68人で、実雇用率は1.03%だ。民間企業とは違い、国や地方公共団体等の法定雇用率は「2.5%」なので、遠く及んでいない。人数にすると、96人が不足している。
今回の除外対象となる職員は3196人なので、単純計算すれば、政令改正によって外務省が雇うべき障害者の数はほぼ半減する。
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