欲しいのは「お金」よりも「承認」 フリマアプリで「承認欲求」を満たす人々、増加中?:調査研究が活発に(2/3 ページ)
11月に「メルカリ総研」を立ち上げたメルカリ。利用者が急増し、「不用品の売買」から脱皮し始めるフリマの調査研究に意欲的な姿勢を見せている。利益を追い求めず、承認欲求を満たす人の姿も見えてきた。
「利益」ではなく「承認」を求める人
調査では、フリマアプリに出品経験がある2115人を対象に、100円以下の利益でフリマアプリに出品する頻度を聞いた。すると、22.0%の人が、「3回に1回」以上の頻度で利益の少ない取引(少額取引)を行っている。なお、少額取引利用者を見ると、女性が63.3%を占める。
では、少額取引者は何のためにフリマアプリを使っているのか。利用目的を聞いた質問では、「捨てることがもったいない」と「誰かの役に立つ」が、100円以上の取引(高額取引)を多くする人と差が開いた回答だった。身の回りの不用品を売ることで、手軽に社会とつながれることにメリットを感じているようだ。
こうした傾向は女性に強い。調査では少額取引利用者のうち、出品物が売れた際の感情として「嬉しい・楽しい」と回答した379人に理由を聞いた。両性とも「使えるモノを捨てる罪悪感がなくなるから」と答えた人が最も多かったが「他者に評価されたと感じるから」という回答では性別によって大差がついた。男性は10.8%だったのに対し、女性は33.6%が回答。3倍超の開きが出た。
別の設問では、フリマアプリ利用経験者1030人に「承認欲求が満たされると感じること」を聞いたところ、「フリマアプリで出品した商品が売れること」と回答したのは70.3%。「お給料が上がること」(83.6%)「家族に褒められること」(76.1%)に次ぐ3位にランクインした。「SNS投稿にコメントが入ること」(55.7%)を上回っており、多くの人がSNSよりも承認欲求を満たすツールとして使っているようだ。
トレンド評論家の牛窪恵氏は今回の結果について「たとえ少額の利益しか得られなくても、出品した時点で『捨てる罪悪感』から解放される。さらにそれが誰かに売れることで、高度な『承認欲求』が満たされる。そしてそれが一種の快感『メルカリハイ』へとつながり、つい身の回りの売れそうなモノを探すようになる……。フリマアプリは、環境への配慮だけでなく現代人のストレス緩和にも貢献する、重要なサービスに成長したといえるでしょう」とコメントしている
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