1杯750円の“レトロ喫茶” 但馬屋珈琲店が売り上げV字回復できたわけ:立役者は元プロ格闘技選手(1/4 ページ)
過去最多ペースで倒産が続く喫茶店。2019年1〜8月の期間で倒産した件数は42件にのぼる。そんな中、売り上げがV字回復したレトロ喫茶がある。新宿を拠点に構える但馬屋珈琲店だ。1杯750円と決して安くない価格をそろえる喫茶店は、どのように売り上げ回復を成し遂げたのか。戦略担当者である元プロ格闘技選手の倉田光敏氏に聞いた。
新宿西口付近に位置する「思い出横丁」。終戦直後の闇市をルーツに、今ではインバウンドの人気も集める東京屈指の“飲み屋街”に成長した。この横丁にある、ただ1つの喫茶店「但馬屋珈琲店 本店」は、1964年創業の老舗純喫茶、いわゆる「レトロ喫茶」だ。もともと婦人洋品店を運営していたが、駅前に百貨店ができたことでお客を奪われ、喫茶店にくら替えしたのだという。
系列店を含めて最大で7店舗を展開していた但馬屋珈琲店だが、数年前に2店舗を閉店するなど、売り上げが急降下した。但馬屋珈琲店だけでなく、喫茶店業界全体へは逆風が強く吹いている。東京商工リサーチ(東京都千代田区)の調査によると、2019年の喫茶店倒産件数は過去最多ペースだ。1〜8月の期間で42件が倒産している。
「レトロ喫茶」というと、いい意味で時代に迎合せず、“我”を貫くイメージがある。チェーン店では「効率化」の下で切り捨てられるような一種「ムダ」ともいえる要素も多くなりがちだ。「安さ」を追求することが難しい業態であるといえる。そんな中でも但馬屋珈琲店は売り上げをV字回復。以降も着実に成長を続けているという。
最近ではコーヒーを飲むだけであれば、コンビニで格安に手に入る。増税があり消費者の目も厳しくなる中、ブレンドコーヒーが1杯750円(税込)の但馬屋珈琲店は、どのようにしてV字回復を成し遂げたのだろうか。但馬屋珈琲店を運営するイナバ商事(東京都新宿区)へ15年に入社し、さまざまな戦略を手掛ける倉田光敏氏に話を聞いた。
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喫茶店の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチによると、2019年1〜8月の期間で倒産した喫茶店は42件。過去20年の中で最多ペースに並ぶ勢いだ。こうした中で、新宿にあるレトロな“純喫茶”が9月、新たな店を西新宿に出店した。店名は「珈琲西武」。新宿三丁目にある1号店は1964年にオープンし、今年で55年目を数えるほどの老舗純喫茶だ。喫茶店チェーンでは、200円台からコーヒーが飲める店も増えている中、珈琲西武のコーヒーは最低でも600円。それでも、平日や休日を問わず入店待ちの行列ができるほどの人気ぶりだという。 - “嫌煙”の時代にJTが考えていること たばこの選び方、マーケティング戦略、加熱式たばこ……商品企画部長に直接あれこれ聞いてみた
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