ジャッキー・チェンがビジネス界の「疫病神」といわれてしまう理由:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
ジャッキー・チェンの言動を巡る批判が止まらない。香港デモに関する「中国寄り」のコメントも炎上した。そんな中、「ジャッキーをプロモーションに起用した企業は業績が悪化する」という都市伝説まで話題に。アンチの多さを物語っている。
それでも“中国寄り”の発言をやめない
だが、反ジャッキー派は、要するにジャッキーが「疫病神」だと言いたいだけなのである。批判したいだけにすぎない言いがかりに近いが、こんなたたかれ方をするというのは、それほどアンチがいるということの証左だろう。
当然、ジャッキー自身も自分の発言が物議を醸し、批判的な反応が出ていることも承知しているはずだ。それでも発言を止めることはない。公の場に出れば質問されてしまうからそれはしょうがないのかもしれないが、どうしても中国寄りの発言を抑えられないらしい。
もちろん香港を一方的にたたくようなことはしていないが、反中国の雰囲気が高まっている中で中国を褒めたたえるのはいかがなものか、という意見が出るのも理解できる。
そんなことはジャッキーには釈迦に説法だろうが、それでも中国寄りの発言をする背景には、中国が映画産業において世界でもトップクラスの市場規模だという事情もあるのかもしれない。はたまた、何か私たちには計り知れない「理由」があるのかもしれない。弱みでも握られているのではないか、と。
とにかく、これからジャッキーがどんな言動をするのかについて、引き続き目が離せない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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