ジャッキー・チェンがビジネス界の「疫病神」といわれてしまう理由:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
ジャッキー・チェンの言動を巡る批判が止まらない。香港デモに関する「中国寄り」のコメントも炎上した。そんな中、「ジャッキーをプロモーションに起用した企業は業績が悪化する」という都市伝説まで話題に。アンチの多さを物語っている。
ジャッキー起用で業績悪化?「ブランド殺し」の都市伝説
ジャッキーはさらに、別のニュースに絡んでもネガティブな扱いを受けている。
最近、香港航空が大変な経営悪化に陥っているというニュースが報じられている。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙の記事(11月29日付)によれば、「11月28日、香港航空には全従業員3500人分の11月の給料を時間通りに支払うカネがないと暴露された。航空輸送許可局(ATLA)は、香港第3位の航空会社が『長い期間にわたって』深刻な経営不振にあると語った」という。その後に支払いが行われたかどうかは不明だが、同社関係者によれば「事実無根である」という。
一方、ブルームバーグ(12月17日付)は、「香港の空港管理局は17日、香港航空が一部の支払いを怠ったことを受け同社の保有機7機を差し押さえたと発表した。60日以内に支払いが履行されなければ、管理局が売却することが法令で認められている」とも報じている。ただ現在は「同社の業務は平常通り行われているとしている」という。
【訂正:2019年12月20日17時50分 報道の引用部分に関する内容を訂正、追記しました】
苦境の理由は「不安な社会情勢と観光客の減少が続いたことに深刻な影響を受けた」と、同社は主張しているらしい。また米中の貿易交渉もまた、香港の経済に影響を与えているという。そんなことから、いくつも航路を中止にしている。
そしてこのニュースを受けて、香港の一部で「香港航空の経営悪化の責任がジャッキーにある」という話が噴出しているのである。
どういうことかというと、ジャッキーは17年から香港航空の「ブランド大使」をやっており、プロモーションなどに起用されている。同社が初の北米向けサービスとなるカナダ・バンクーバー便を開始した際には、最初のフライトに搭乗してカナダでプロモーションを行った。
PRのための「大使」としてジャッキーがプロモーションに関与したブランドについては「ことごとくビジネスが悪化する」という都市伝説が囁かれており、ネットを中心に話題になっている。
香港航空の公式Facebookページには「最悪の広報担当者(ジャッキー)を雇った」というコメントや、「ジャッキーは『ブランド殺し』として知られている」といったコメントなどが書き込まれた。
その上で、ジャッキーに「殺された」とされるブランド名が書き込まれる事態に。フィットネスジムやシャンプーブランド、冷凍食品メーカー、家電メーカーなどがジャッキー起用後に業績を悪化させている。それは事実であるが、何もジャッキーのせいでビジネスがダメになったのではなく、結局は自分たちの問題で自滅しているだけだとメディアは報じている。
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