結局、日本企業の生産性は上がったのか、下がったのか 労働生産性の国際比較:主力産業の「製造業」復調の気配
労働生産性の国際比較が発表。昨今の働き方改革で、日本の生産性は実際に上がっているのか。主力産業の「製造業」では苦戦が目立つようだが、下げ止まりの傾向も。
働き方改革というと労働時間の削減や休みを増やすことにフォーカスが当たりがちだが、そもそものお題目は「生産性の向上」だ。長時間だらだら働いて成果も出していない状況を、業務の棚卸しなどでメリハリをつけることが目的となっている。
ここ数年の働き方改革ブームで、日本企業の生産性は上がっているのか。日本生産性本部(東京都千代田区)が12月18日に発表した「労働生産性の国際比較 2019」によると、18年の就業者1人当たり労働生産性は8万1258ドル(約824万円)だった。名目ベースで見ると、前年比で1.5%上昇している。1時間当たりに換算すると46.8ドル(約4744円)。
日本はポイントこそ上昇しているが、経済協力開発機構(OECD)に加盟している36カ国内での順位は21位で、13年以来順位に変動がない状態が続く。主要先進7カ国の中では最下位で、データ取得が可能な1970年以降、最下位が続いている。また、1時間当たりの労働生産性では、米国の6割強にとどまっている。
ちなみに労働生産性とは、「労働者1人当たりで生み出す効果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもの」で、経済成長や経済的な豊かさをもたらす要因と考えられている。
製造業ではかつて生産性トップも……
日本は、主力産業ともいえる「製造業」で95年、ならびに00年に主要国の中で最も高い労働生産性水準を誇っていた。しかし、05年には9位、10年は11位、15年に16位と、調査を追うごとに順位を落としている。
ただ、17年は12年以来5年ぶりに生産性が上昇に転じた。長く続いた生産性低下に歯止めがかかった形だ。主力産業の製造業が生産性を高めないことには、日本企業の国際的な競争力を高めることは難しい。今後の推移に注目したい。
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