ただの田舎暮らしではない! 月4万円「全国住み放題」サービスが獲得したい“共感”とは:乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(2/5 ページ)
月4万円で「全国住み放題」というサービス「ADDress」が注目されている。とはいっても、ただ物件を用意するだけのサービスではない。そこには、テクノロジーを活用して最先端のライフスタイルを実践しようとする人の“共感”を呼ぶコンセプトと仕組みがある。
地域の潜在的な魅力を掘り起こしたい
佐別当氏がADDressのサービスを立ち上げたきっかけは、4年前に「シェアリングエコノミー協会」設立に関わったことだった。同協会の活動で、シェアリングサービスをまちづくりに生かす海外事例を紹介したり、担当する省庁や機関などの取り組みに協力したりする中で、シェアリングサービスの活用に関心を持つ地域が多いことが分かったという。
そういった地域に足を運んでみると、人口減少が進み、空き家問題が深刻化している現状があった。そこで、空き家をシェアリングサービスに活用できれば、都市から地方へ人が移動する機会が増える、と考えた。その先には、他のサービスを含めたシェアリングエコノミーの普及につながり、まちづくりに生かせるようになるかもしれない、という期待もある。
「日本にはさまざまな魅力にあふれた地域があり、資産の塊だと思う。その良さを伝えるために、テクノロジーを活用して地域のポテンシャルを拡大できないか、と考えた。定額制であれば、有名な観光地ではない土地にも行く機会ができる。人が集まるきっかけになる」(佐別当氏)
現在、働き方改革の推進によって、旅先でリモートワークをする「ワーケーション」が注目されている。また、ITを利用してさまざまな公共交通をシームレスに結ぶ「MaaS(Mobility as a Service)」という概念も登場した。人々の生活における「働き方」や「移動」に関する考え方が転換点を迎えている。
そういった背景から、ADDressのメインターゲットは、「都会に疲れた」「田舎暮らしがしたい」という層ではない。「最先端のライフスタイルを実践したい」という人たちだ。
そのような“世界観”を伝えるために、SNSや公式サイトによる発信の方法にも工夫を加えた。「全国住み放題」という特徴をうたうだけでなく、「いつもの場所が、いくつもある、という生き方。」といったキャッチコピーを使い、“生き方”そのものに対する価値観を新しくしていこう、と呼び掛けている。
そして、そういったメッセージの発信に欠かせないのが「家守(やもり)」と呼ばれる人たちの存在だ。
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