ただの田舎暮らしではない! 月4万円「全国住み放題」サービスが獲得したい“共感”とは:乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(5/5 ページ)
月4万円で「全国住み放題」というサービス「ADDress」が注目されている。とはいっても、ただ物件を用意するだけのサービスではない。そこには、テクノロジーを活用して最先端のライフスタイルを実践しようとする人の“共感”を呼ぶコンセプトと仕組みがある。
移動を前提としたライフスタイルへ
ANAホールディングスとは20年1月下旬から実証実験を開始。ADDressの利用料金に月額2万〜3万円を加えることで、全国の指定路線・便を4回(または2往復)利用できるサービスを展開する。平日の昼間など、空席が多い便の有効活用にもつながるという。
中古車買い取り・販売店「ガリバー」を運営するIDOMの定額制カーシェアサービス「NOREL(ノレル)」とも連携。ADDressの指定物件の駐車場に車両を設置し、各物件とガリバーの店舗で乗り捨てできるサービスを20年1月から始める。
また、JR東日本スタートアップとも事業連携する。まずは、JR東日本グループのホテルを利用できるようにする連携から開始。鉄道による移動サービスを組み込むことも検討している。
会員や拠点数を増やし、サービスを拡大していくために、今後はまだ拠点がないエリアにも進出していく方針だ。サービス開始当初は、東京の会員が頻繁に通える関東の物件を増やしたが「もっと全国へ行きたい」という声が多いことから、エリア拡大を急ぐ。そのために、地方自治体や地場企業との連携も強化したいという。地元に精通している企業や金融機関の協力を得て、物件やオーナー探し、家守の育成などに注力する。
「移住・定住ではなく、“移動を前提とした”働き方やライフスタイルが生まれている」と佐別当氏は話す。暮らしや仕事に対する価値観の変化が始まっている今、ADDressへの共感を増やすことが地域や日本社会の問題を解決する足掛かりとなるかもしれない。
関連記事
- freee“10倍値上げ”問題から考えるサブスクエコノミーの落とし穴
今週上場したfreeeの波紋が後を引いている。freeeが提供する法人向け会計サービス内容の改定が今月上旬に発表され、これが実質“10倍値上げ“になるとSNS利用者の間で解釈されたためだ。 - しょうゆを育てるサブスク「BOTTLE BREW」でキッコーマンがブランドの証「六角形」を使わなかったワケ
9月にキッコーマン食品が発表した“育てるしょうゆ”こと「BOTTLE BREW」。サブスクリプションなだけでなく、家でしょうゆを発酵させる斬新なサービスが注目を集めた。ただ、しょうゆを育てるボトルには、キッコーマンの代名詞といえる六角形ロゴをあしらっていない。一体どのような狙いをもって企画したのか、担当者に直撃した。 - 周回遅れだった日本の「自転車ツーリズム」 訪日客を呼び込む“切り札”となるか
遅れがちと指摘される日本の自転車政策が動き出した。外国人観光客の需要などを見込んで「ナショナルサイクルルート」が創設される。お手本は、自転車客誘致に成功した「しまなみサイクリングロード」だ。サイクリングを楽しめる環境づくりは進んでいくのか。 - なぜ他人の別荘に泊まる人が増えているのか 一休のバケレンがバケた
他人の別荘などに宿泊する人が増えていることをご存じだろうか。宿泊サイトを運営する一休がサービスを始めたところ、施設数と取扱高が伸びているのだ。海外ではこのようなスタイルを楽しむ人は多いが、なぜ日本でもじわじわ増えているのか。担当者に話を聞いたところ……。 - 世界に誇る「サイクリングロード」を初指定 選ばれた3ルートはどこ?
国土交通省は、訪日外国人の誘客などに有効なサイクリングロードとして、「ナショナルサイクルルート」の第1次指定ルートを発表。「しまなみ海道サイクリングロード」「つくば霞ヶ浦りんりんロード」「ビワイチ」の3ルートが選ばれた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.