いきなり!ステーキ大量閉店の裏で着々と牙を研ぐ「やっぱりステーキ」の不気味な存在:単なる「パクり」ではない(2/2 ページ)
いきなり!ステーキが急ブレーキしている。出店計画を見直すとともに、44店舗の閉店を決定。売り上げも大きく落ち込んでいる。その裏で注目を集めているのが「やっぱりステーキ」という店だ。名前こそ似ているが、単なる「パクり」で片付けるのは早計か?
「いきなり!」と「やっぱり」の違い
メニューなどをよく見ると、「やっぱり」は単なる「パクり」ではないようだ。
「いきなり!」は路面店が多く、当初は立ち食い形態を基本として回転率を高める戦略を取っていた。一方、「やっぱり」は肉の種類にもよるが、「肉のおかわり」というメニューを用意している。およそ100グラム単位で、「もっと肉が食べたい」となったときに注文するメニューだ。
また、「いきなり!」はオーダーカットを売りにするとともにご飯やサラダを別売りにすることで「肉を食べる」というコンセプトが強かった。一方「やっぱり」は、基本的にご飯、サラダ、スープがどの肉にもセットとなっている。「肉」というよりもしっかり腰を据えて「ご飯を食べる」店としてのニーズを狙っているとみられる。
「いきなり!」の失速について「やっぱり」の担当者に聞いたところ「特にそこまで意識はしていない」と話した。現在、「やっぱり」は沖縄県外の場合ショッピングモールでの出店を旺盛に行っている。「いきなり!」が閉店した都心部のテナントに居抜きとしてオープンする可能性については「今は各地のショッピングモールを中心に、引き合いが多い。こちらから立地を見繕って出店計画を立てる、というよりも、要望に応じて検討することがほとんど」とコメントした。
リクルートライフスタイルが運営するホットペッパーグルメ外食総研の「外食市場調査(2019年10月度)」によると、関東圏、関西圏、東海圏での「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」市場はほぼ横ばい。つまり、「いきなり!」が急ブレーキしていても、市場への影響は小さかった。低価格帯のステーキ業態にはあさくまの「やっぱりあさくま」、松屋フーズの「ステーキ屋松」、チムニーの「アッ!そうだステーキ」、モンテローザの「カミナリステーキ」など、プレーヤーが増加している。「いきなり!」から離れたお客がこれらの競合店に流れて、市場全体の変化が小さかったとみることもできそうだ。
「やっぱり」が出店しているエリアは沖縄や九州など、上述の調査を行っているエリア外が多い。既に都市部で展開しているプレーヤーよりも一回り安い「やっぱり」が本格的に全国展開を開始したとき、市場にどのような影響を及ぼすのか。担当者の話では、いきなり展開するようなことはなさそうだが、やっぱり気になる。
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