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もうけは悪、補助金漬け――そんな地方都市で実績上げる、サツドラ社長の戦略課題山積の地方こそ、グローバルで戦える(1/4 ページ)

「課題山積の地方こそ、グローバルで戦える」――。そう意気込むのは、北海道を中心に国内約200店舗のドラッグストアを運営するサツドラホールディングスの社長を務める富山浩樹氏だ。地方都市の生き残りを賭けて戦う富山氏に、戦略の詳細を聞いた。

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 会社勤めを辞め、プロフェッショナルCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)の道を歩み始めた長谷川秀樹氏が、改革者と酒を酌み交わし語り合う本対談。今回は、北の眠らない街ススキノへやってまいりました。

 ゲストは、ドラッグストア「サッポロドラッグストアー」を北海道を中心に国内約200店舗展開するサツドラホールディングス 代表取締役社長 富山浩樹氏。事業はドラッグストアにとどまりません。グループ会社リージョナルマーケティングの運営する共通ポイントカード「EZOCA」(エゾカ)は185万枚以上発行され、北海道での世帯普及率は約65%だといいます。

 2019年12月20日には、生活協同組合コープさっぽろと包括的な業務提携契約を締結。21年をめどに食品はコープさっぽろ、日用品などはサツドラを主体とし、商流と物流の集約を進め、健康から食、テクノロジーからラストワンマイルの配送網までを見据え、地域の暮らしに貢献しようとしています。

 今回は、日清食品ホールディングスCIOの喜多羅滋夫氏、フジテックCIOの友岡賢二氏、パラレルマーケターの小島英揮氏も巻き込み、富山氏の戦略に迫ります。

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IT酒場放浪記 北海道編収録の様子。左から時計回りにロケスタ 代表取締役社長 長谷川秀樹氏、パラレルマーケターの小島英揮氏、フジテックCIOの友岡賢二氏、サツドラホールディングス代表取締役社長の富山浩樹氏、日清食品HD CIOの喜多羅滋夫氏

北海道は巨大な実験場――ドラッグストア業界の異端児「サツドラ」とは

長谷川: サツドラは、もはやドラッグストアの域を越えていますよね。「EZOCA」の運営に加え、AIソリューションやリアルタイムクラウドPOSの開発、オープンイノベーションや共同マーケティングなど、他社との連携にも積極的。一体、何を企んでいるんですか?

富山: リアルとテクノロジーの融合が今後、主流になるというのは多くの方の考えるところですが、リアルとテクノロジーのハブになるプレイヤーはまだ少ない。僕らはそれになりたいんです。

 今、僕らの取り組みの1つである「サツドラ・イノベーション・イニシアティブ(SII)」のオフィスを新設中なのですが、これは「北海道」と「サツドラの店舗」という現場を使って、あらゆるアイデアの社会実装を目指すラボです。他の協業企業やスタートアップに、「EZOCA」のデータと1階の実店舗を実験場として提供します。

喜多羅: ここ数年、「データは宝の山のはずや」といわれてきましたが、実際は「ためたデータをどう生かすか」で悩んでいる企業が多い。データだけではなく、それを生かせる現場を提供するのは良いですね。

富山: EZOCAでやりたいのは、データを基に顧客行動を理解することではなく、まず顧客を理解し、その裏付けとしてデータを活用するということなんです。だから現場は不可欠。顧客を見ずに、データだけで推察しようとするから「変なペルソナ」を作ってしまったりするんですよね。

 例えば、地方に行くと「三木たかしの全曲全集、今ならCDラジカセ全員に当たります」みたいな新聞広告が、いまだに成立しているわけです。顧客を見ないと絶対に思い付かないプロモーションでしょう。

友岡: まさにデザイン思考における「人間中心」の考え方ですね。サービス提供側のメリット(コスト削減や効率化など)を重視した結果、人間、つまり顧客がないがしろにされているところを取り戻そうとしているのがデザイン思考の本質だよね。

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