美容業の倒産が急増 背景に1000円カットの台頭や経営者の高齢化
2019年の理・美容業倒産件数が過去30年間で最多となり、東日本大震災が発生した2011年を上回ることが東京商工リサーチの調査で明らかになった。
東京商工リサーチが発表した2019年「理容業・美容業倒産動向」調査によると、理容業・美容業の倒産件数が、バブル末期の1989年以降の30年間で最多となる119件(前年比8.1%増)に達したことが分かった。これまで過去最多だった2011年の118件を8年ぶりに上回ったほか、件数が2016年の82件から4年連続で増加しており、増勢が強まっている。
このうち、理容業の倒産は14件で前年から1件減少しており、8年連続10件台で落ち着いて推移している。一方、美容業は105件(前年比10.5%増)と大幅に増加。過去最多だった2018年の95件を上回り、最多記録を塗り替えた。
倒産ではないが、事業停止した休廃業・解散も317件(前年264件)と増加した。1社で複数店舗を経営しているケースも多く、店舗数ではかなりの数が休廃業・解散で閉店し、一般的な閉店も含めると数千店舗に達する可能性もあるという。
理・美容業は、大都市を中心に店舗が乱立し、過当競争が続いている。人口減少や顧客の高齢化などで顧客の囲い込みが激しさを増すなか、1000円カットなど低価格チェーンも台頭。小資本でも独立できる業界のため、参入障壁も低く、既存店舗と相次ぐ新規参入組との間で熾烈な競争が繰り広げられている。
経営者の高齢化や人材確保などの問題もあり、小・零細規模を中心に淘汰を余儀なくされている。特に、最近は男性客も多い「美容業」の新規参入が多く、理・美容業の倒産は今後も増加する可能性が高まっている。
生き残り競争には、新規顧客の獲得に向けたPRやクーポンなどのアイデアだけでなく、技術や価格競争力も必要になっている。また、予約システム、顧客のヘアデザインのデータ化など、顧客獲得にはIT化と利便性も求められる時代を迎えていると東京商工リサーチは分析している。
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