“世界で最も心地よい”スニーカーは、日本でも爆売れするか:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
「世界で最も心地よいシューズ」と評されたスニーカーブランド「オールバーズ」が日本初上陸した。環境への配慮や履き心地を追求したシューズが、なぜここまで評価されているのか。その背景には、明確なビジネス戦略があった。
元サッカー選手が“環境に優しい”を追求したスニーカー
オールバーズが最初にビジネスに乗り出したのは2013年のこと。元サッカー選手でニュージーランド代表選手も務めたティム・ブラウン氏が、プロサッカー選手を引退した後で、環境に優しい素材を使ったスニーカーを作ろうと考えた。というのも、現役時代にスポンサーから提供されたスパイクはどれも派手で、メーカーのマークがドカンと付いていたことから、もっと控えめで履き心地がよく、さらにサステナブルなスニーカーがあればいいのに、と思っていたからだ。
それから英大学への留学などを経て、本格的にスニーカーの開発を開始。英国では教授から「失敗するからやめたほうがいい」と断言されたそうだが、それでも怯まずに、高級衣料品ブランドのアルマーニなどのスーツに使われるニュージーランド産のウール(メリノ羊毛)に目を付け、環境への配慮を徹底したシューズ作りを行った。
そして形になったところで、クラウドファンディングを開始。すると4日間で950人以上の投資家から12万ドルを獲得するほど期待が寄せられることに。事業を本格化させるため、ビジネスパートナー(ブラウン氏の妻の大学時代のルームメイトでエンジニア)と手を組み、640億ドル規模の市場であるスニーカー業界に乗り込んだ。16年3月、オールバーズはたった1つのデザインのみでビジネスを開始。それまでに200以上の試作品を作ったという。
すると、発売1週間でタイム誌が「最も履き心地のよいシューズ」と紹介。そこから一気にビジネスが拡大し、たった数年の間に、世界で話題になるシューズとなった。
オールバーズは、環境に優しい材料を使っている。既に述べたウールをはじめ、ユーカリの木の繊維から作られたシューズもある。靴ひもは再生プラスチックでできており、靴底はブラジル産のサトウキビを加工して作っている。もちろん購入時の箱も再生ボード紙。とにかく、エコでサステナブルなシューズなのである。
ちなみに、ウールなど通気性のいい素材を使っていることから、はだしで履いても臭くなりにくく、洗濯もできる。夏は涼しく、冬は暖かいという。
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