“世界で最も心地よい”スニーカーは、日本でも爆売れするか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
「世界で最も心地よいシューズ」と評されたスニーカーブランド「オールバーズ」が日本初上陸した。環境への配慮や履き心地を追求したシューズが、なぜここまで評価されているのか。その背景には、明確なビジネス戦略があった。
成功の裏にあった、明確な「戦略」
売り上げも軌道に乗っている。ニュージーランドの地元紙であるニュージーランド・ヘラルドは、オールバーズが18年3月に売り上げ数100万足を達成したと報じ、「会社がローンチしてから毎分1足が売れている計算になる」と書いている。そして20年1月に、東京で15店舗目となる店舗をオープンした。
オールバーズのスニーカーは、すでに紹介したセレブだけでなく、Googleの共同創業者のラリー・ペイジ氏やTwitter元CEOのディック・カストロ氏、有名投資家のベン・ホロウィッツ氏など、社会や環境に対する意識が高いセレブや起業家、ビジネスパーソンの間で履かれるようになった。要は、米国で「できる」と言われるような男たちを引き付けているのである。
ただ爆発的に成長した理由は、こうしたセレブたちに気に入られたからだけではない。成功の裏には、明確な戦略があったという。ブラウン氏は、18年に行われたニュージーランドでの起業関連のカンファレンスで、同社の軌跡について語っている。
ブラウン氏らが常に念頭に置いているのは次の3つだ。「心地よさ」「デザイン」「サステナビリティ」である。つまり、人は心地よさでシューズを選ぶということ。だが心地いいシューズはかっこよくないことが多く、デザインの問題があるということ。そして、人々はサステナビリティの問題を気にしているということだ。
これら3つの柱は同社にとって譲れない事項となっている。何がその企業に必要で、何を譲れないのか。それを明確にすることで、進むべき道において迷いをなくし、結果的に組織の全員が同じ方向に目を向けることができる。
その上で、ビジネス環境の「現在地」を認識する。例えば、これまでと違って、世の中ではオンラインショッピングが興隆し、大手小売店などで大量販売が避けられる傾向になった。売る側と買う側が直接やりとりするようになってメーカーと消費者との関係性が深くなり、直接自分たちのメッセージを消費者に伝えることができるようになった。
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