堀江貴文が“炎上上等”で「ホリエモン万博」開催に奮闘する理由――知られざる「六本木の衰退」に一石:「信者ビジネス」との批判に反論(3/3 ページ)
ホリエモンこと堀江貴文がさまざまなイベントを同時多発的に開催する「ホリエモン万博」を2月1日、2日に東京・六本木で開催する。「赤字続き」だという万博の開催を続ける目的を堀江に問うと、経営者の高齢化などにより古き良き飲食店がなくなりつつあり、一部で衰退の兆しが見える六本木を、大人が楽しめる街として盛り上げることにあるという。堀江自身がその思いを語った。
「信者ビジネス」との批判に反論 万博は「背中を押す場所」
堀江のオンラインサロンであるHIUや、HIUのメンバーがボランティアで運営する「ホリエモン万博」は、特に堀江に反感を持つ人たちからは、「信者ビジネス」と批判する声もしばしば上がっている。堀江に「そういった批判にどう答えるか?」と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「(批判する人たちは)理解できないんじゃないですかね。例えばキャッシュレスになったら、飲食店のホールの従業員はいらなくなる。決済もオーダーも全部オンラインで終わるから。
そうすると働かなくてもいい世の中になる。『定年後のサラリーマン』のような人が大量発生するんです。彼らはもう遊ぶしかない。だからホリエモン万博もみんなボランティアでつくっていますって言っていますけど、要は『時間つぶし』なんです。ある時間をより楽しく過ごしましょうねっていう」
さらに、六本木で開催している「ホリエモン万博」はこれまで全て赤字だと明かし、自分の役割を次のように説明する。
「HIUは岡田斗司夫さんがやっていたFREEex(フリックス)というシステムが元になっています。勝間和代さんがつくった勝間塾という先行事例もあります。僕の役割は、カルピスの原液をつくるのが自分の仕事で、薄めるのはメディアの仕事だとよく言っています。僕は原液を作り続けるので、勝手に薄めてねというビジネスです。
アマゾンの奥地で怪しげな薬を作っているような人のところに行って『これは毒だな』と思うものを見つけてくる。毒と薬は表裏一体じゃないですか。彼らが作っているものを毒味して、僕は『これは使える』と思うものをチョイスして、いいところだけを取り込みます。それで僕なりのブレンドをつくって、数百万人のお客さんに向けて発信するイメージです。
だから、完全オリジナルのものって実は少ない。僕が何かを参考にしていると言うと、その人の全てを僕がリスペクトしているとすぐ誤解されるのですが、そんなことはなくて。僕はいいところしか取り込みません」
堀江がチョイスした企画に、HIUのメンバーが触れることで化学反応を起こす。「♯ジャズなう」を企画・運営する濱田も、その化学反応によって学生ながら起業した1人だ。
「僕のメルマガや本、YouTubeを見ている人たちは、見ただけで満足する人が多くて、行動に移す人の割合は数パーセントです。そういう人たちが行動に移せるように、背中を押すイベントをHIUではたくさんつくっています。ホリエモン万博もその一環です。たくさんのコンテンツに触れることができる“背中を押す装置”ですね」
「ホリエモン万博」はオーディエンスとして参加しても、スタッフとして行動しても、さまざまな刺激を受けられる出会いの場なのかもしれない。多くの化学反応によって生まれたコンテンツで、六本木の2日間を盛り上げていく。
「経営者の高齢化」というビジネス課題に一石投じるか
以上が堀江の取り組みだ。
近年では特に中小企業にとって、経営者の高齢化と後継者不足は喫緊の課題になっている。帝国データバンクによれば、社長の平均年齢は19年に過去最高の59.9歳となり、右肩上がりを続けている。また、後継者が見つからないまま代表者が高齢になり、倒産に至っている事例も多い。実際に東京商工リサーチが今月発表した「休廃業・解散した企業の代表者の年代別構成比」を見ると、19年の最多は70代で39%にのぼり、60代以上まで広げると全体の83.5%を占めた。事業承継が難しい状況を物語っている。
そんな中、今回の堀江の取り組みはどのような影響を与えるのか――。(敬称略)
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