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マーケティングは「無意識」を探る時代に ニューロサイエンスで検証した新商品の効果は?ダイドードリンコの事例(3/3 ページ)

アンケートやインタビューでは分からない「無意識」を脳波測定などによって可視化し、マーケティングに生かす動きが活発化している。ダイドードリンコはニールセン・カンパニーと共に、新開発の容器の効果を測定した。消費者の感情や記憶に訴える効果はあったのか。

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マーケティングは「説得」から「感情関与」へ

 ニールセンの辻本氏は「従来のマーケティングは、購入する理由を先に考えて、消費者を“説得”することが目標になる考え方だった。新しい考え方では、感情が先で、意思決定の理由は後で考える。そのため、目標は“感情関与”になる」と説明する。機能を訴求しても、見る人の感情に届かないと効果は出ないということだ。


有名な錯視の絵を用いて「無意識」について解説する、ニールセン・シンガポールの脳科学者、辻本悟史氏

 辻本氏は、米国でテレビCMを改善した事例を挙げた。犬の映像とキャンペーン内容を示す文字だけのシンプルなCMだが、調査をすると、消費者の視線は犬ばかりを追い、肝心の文字情報や企業のロゴなどを見てもらえず、「単に犬がかわいいだけのCM」になっていたことが分かった。そこで、実験結果に基づいて、「文章を読み上げる音声を入れる」「犬と文字を一緒の画面に映さない」など、細かい部分を改善。すると、新CMの放映開始後の3カ月間で、Webサイトの訪問数が33%増、サイト内の検索数も28%増になったという。

 ニューロサイエンスの妥当性についても検証が行われている。例えば、あるテレビ番組について、1分のセグメントごとに計測した数値と、そのセグメントに関連するツイート数には、相関が見られたという。

 一方で、現時点ではまだ「何にでも使える」とはいえないようだ。ブランド構築や商品開発、広告など、マーケティングの各ステージに応用可能な技術だが、データ収集や解析にはある程度の時間がかかるため、ニューロサイエンスを使った詳細な分析をどの段階で実施するか、見極める必要がある。ダイドーのように新商品の効果測定をしたり、商品コンセプトを決める段階で取り入れたり、既存の広告を改善したりと、明確な目的を持って取り入れれば、これまでにない新たな知見を発見することができるかもしれない。

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