働き方改革、「働かせ方改革」になってない? いまだ根強い「長時間労働は仕方ない」「長く働く人を評価」を打破するために:9割超が着手も効果実感は5割(1/3 ページ)
デロイトトーマツグループが働き方改革に関する調査結果を発表した。調査結果によると、改革に取り組む企業は9割ほどに増えた。その一方で、効果を実感する企業は5割ほどにとどまっている。「働かせ方改革」にならないために知っておくべきこととは。
働き方改革に取り組んでいる企業は約9割だが、まだまだ組織改革までは達していない。本来の目的は生産性の向上だが、多くの企業では労働時間の削減にとどまっているようだ。デロイトトーマツグループが実施する「働き方改革の実態調査2020」でそんな結果が明らかになった。
同調査は13年から実施している。働き方改革を「生産性の向上と従業員の働きがいの向上の両面の実現」と定義し、課題と解決の方向性を明らかにすることが目的。今回が4回目の実施となる。企業規模を問わず、19年10月25日〜12月27日の期間で277社を対象に行った。
調査結果によると、働き方改革に取り組んでいる企業は、「実施した」(20%)と「現在推進中」(69%)を合わせて9割ほどに上った。13年調査では30%だったため、6年ほどで約3倍に広がった。
働き方改革の目的として最も多く挙がったのが「従業員満足度の向上・リテンション」(88%)だった。その他、「多様な人材の維持獲得、D&I促進」(67%)、「コンプライアンス対応」(50%)なども回答が多かった。
働き方改革として検討した施策で最も多かったのは「長時間労働の是正」(95%)だった。19年4月には働き方改革関連法が施行され、大企業では罰則のある残業時間の上限規制が設けられた(中小企業は20年4月から)。そのため、多くの企業で分かりやすいコンプライアンス対応として検討があったとみられる。2位以下は「業務プロセス・ルールの見直し、業務標準化」(59%)、「在宅勤務やシェアードオフィス等のオフィス外勤務の促進」(57%)などが続いた。パラレルワークを許容する「1つの企業に頼らない働き方の許可・推奨」は14%と回答率自体は低かったが、前回調査からは12ポイント増と、注目が集まる施策となっている。
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