働き方改革、「働かせ方改革」になってない? いまだ根強い「長時間労働は仕方ない」「長く働く人を評価」を打破するために:9割超が着手も効果実感は5割(2/3 ページ)
デロイトトーマツグループが働き方改革に関する調査結果を発表した。調査結果によると、改革に取り組む企業は9割ほどに増えた。その一方で、効果を実感する企業は5割ほどにとどまっている。「働かせ方改革」にならないために知っておくべきこととは。
「働き方改革の効果を実感」はまだ5割
多くの企業が働き方改革を実践している一方で、効果の実感に至った企業は「効果が感じられた」(9%)、「部分的にではあるが効果が感じられた」(44%)と合計して約5割にとどまった。中には「KPIがなく、きちんとモニタリングできなかった」(24%)と回答した企業もあり、何を目的として、どうすれば「達成」と見なすのか、といった計画性をもって改革に着手することが重要となりそうだ。
効果を実感した項目については、「コンプライアンス対応」がトップ。135社が取り組み、「効果が感じられた」(23.7%)、「部分的にではあるが効果が感じられた」(56.3%)を合わせて8割近くが手応えを感じている。
ただ、働き方改革の「真のゴール」は労働時間の削減ではない。あくまで生産性の向上や働きがいの向上がゴールであり、労働時間の削減はそこまでの通過地点だ。デロイトトーマツでは、働き方改革を「コンプライアンスの徹底」「既存業務の効率化」「イノベーションの創出」という3つのステップに分類している。つまり、多くの企業では働き方改革の1歩目を踏み出したにすぎない。
では2歩、3歩と進めるためにはどうすればよいのか。デロイトトーマツの小出翔マネジャーは「トップダウンで進めると『働かせ方改革』になってしまい失敗する。2歩目、3歩目と進める企業はボトムアップ、ミドルアップに長けている」と分析する。こう分析する背景には、長時間労働に対する旧態依然とした意識が横たわっている。
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