埋没気味だった「喜多方ラーメン坂内」が逆襲を開始 あっさり味が国内外で支持されそうな理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
1990年のピーク時には89店を展開していた「喜多方ラーメン坂内」。最近は埋没気味だったが、米国に進出したり、国内の店舗数を増やしたりしている。「あっさり味」が武器になる理由とは。
喜多方ラーメンのうわさ話を聞いた
麺食は、創業者の中原明会長が坂内食堂の味にほれ込んで始めた会社だが、全国展開への対応のため、スープのしょうゆ味を濃くしている。水質の良い喜多方とは事情が違うケースが多いからだ。麺は同じ、チャーシューもほぼ同じである。
坂内食堂のラーメンスープは、塩味のスープにチャーシューの煮汁であるしょうゆダレを垂らした仕様になっている。そこは麺食でも同じなのだが、チャーシューの煮汁の分量を多くしているのだ。そのため、坂内食堂のラーメンは「塩」、麺食のラーメンは「しょうゆ」に分類されることが多い。
坂内食堂に限らず、喜多方のラーメン店は「○○食堂」と名乗るケースが多い。それはもともと、町の食堂・町中華のメニューの1つとして、ラーメンがあった名残りである。今はラーメンばかり注文が入るため、専業に変わった店も多い。
中原会長と喜多方ラーメンの出合いは、次のようなものだ。当時、中原会長は国鉄の子会社で、駅ナカの立ち食いそばなどの事業を展開するサンフーズの役員だった。そして、有楽町のガード下でラーメン店を立ち上げるプロジェクトを任されていた。そこで、日本中のラーメンを食べ歩いたがピンと来るものがなかった。ところが、たまたま大阪から東京へ帰ってくる飛行機の中で、乗客が喜多方ラーメンのうわさ話をしているのを耳にした。妙に気になったので、喜多方駅の駅長に電話をかけて事情を聞き、現地に飛んだ。
そして、サンフーズの資本で87年にオープンしたのが「くら」だった。くらはヒットし、FCビジネスを展開する準備は整っていたが、当時は国鉄民営化のタイミングでサンフーズはそれどころではなかった。諦めきれず、中原会長が独立してつくった会社が麺食なのであった。だから、長野県東御市にオープンした坂内1号店はいきなりFC店となっている。
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