丸井グループ、「売らないお店」支援のD2C新会社発表 リアル店舗出店は“広告出稿の一つ”へ?:新しい企業とお客の形(1/2 ページ)
丸井グループが子会社「D2C&Co.(ディーツーシーアンドカンパニー株式会社)」の設立を発表した。D2C関連企業へ出資や出店支援をしていくという。丸井グループは「売らないお店」への方針転換を図っており、インターネットによって変化するビジネスモデルの台風の目となりつつある。
丸井グループは2月12日、新会社の設立発表会を開いた。発表会には、丸井グループの青井浩社長、1月31日に設立した新会社「D2C&Co.(ディーツーシーアンドカンパニー)」の加藤浩嗣社長、ならびに各地のマルイに出店するD2C企業の代表が登壇した。
「D2C」は、「Direct to Consumer」の略称。小売店や広告代理店といった媒介を通さず、企業とお客が直接つながるビジネスモデルを指す。自社のビジョンや理念をお客に伝えやすく、また小売の場合は自社チャネルで販売することから、お客とコミュニケーションを取りやすい。さらにデータの活用もしやすく、デジタル時代の新たな企業戦略として注目を集める。海外ではこのD2Cモデルを武器に、企業価値が10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン企業」も続々と登場している。米国では、マットレス販売で大手の企業を創業からわずか数年のD2C企業が打ち負かすという事例も出ている。
小売り業の場合、これまでは商品を小売店に卸し、リアル店舗を経由してお客に販売するのが基本だった。その後、ECモールなどが成長し、リアル店舗を介さずにEC上の店舗でお客に販売するスタイルが浸透。今やリアル店舗で商品をチェックし、最終的な購入はECで、あるいは全てEC上で完結するという購買スタイルが若年層では主流になりつつある。丸井グループの青井社長は「お買い物はネットの方が圧倒的に便利。わざわざ店舗に出向くのはストレスになりつつある」と話す。新会社のターゲットについては「主にデジタルネイティブ世代、Z世代、ミレニアル世代」とも話した。
ディーツーシーアンドカンパニーではD2Cにかかわるスタートアップ企業への出資や融資、D2Cブランドのマルイ店舗への出店支援、またD2Cに関するキュレーションサイトの運営を行っていくという。出資、融資事業ではスタートアップ企業への出資経験者を外部から招聘(しょうへい)し、1カ月に1社程度を目標に投資していくという。今後3年間で30億円の投資を目標に掲げた。なお、丸井グループでもスタートアップへの出資は行っており、こちらでは今後3年間で170億円をめどに投資していく。
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