100円ショップ界屈指の高利益率を誇るセリア “安くておしゃれ”の裏に隠れた緻密な戦略とは:営業利益率は競合の数倍(3/3 ページ)
「安くておしゃれ」を武器に人気を拡大しているセリア。ただ安さを重視した「薄利多売」ではなく、営業利益率は競合と比較しても高い。裏側にはどんな戦略があるのだろうか。
1粒で二度おいしい食品“不売”戦略
セリアでは、多くの店舗で飲料など食品類を販売していない。「食品類は単価が高く、利益率が低い。製菓材料などは販売していることもあるが、基本的には(食品は)ない。これで仕入れ原価が大幅に下がる」と田中氏は話す。
また、食品を販売しないことは利益率以外にもよい効果をもたらしている。それが出店戦略だ。かつては路面店が多かっだが、百均店の増加により集客に陰りが出てきた。そこで、近年は集客を見込みやすい商業施設内での出店も増えている。
実際、お客の要望も多いことから商業施設やデベロッパー側もオープン時などに百均の誘致を考えるところは多い。その一方で、テナント側からは施設のブランドや、特にスーパーが飲料などの販売で競合することを意識して百均の誘致に否定的なケースも多いのだという。しかし、セリアでは先述したように食品類を販売していない店舗が多い。このことから、商業施設に新規出店しやすいという効果が出ているという。
セリアが固守する百均の“原点”
百均の中でも、最近は100円より高い商品を販売するケースが増えてきている。ワッツでは、ここ数年で高価格帯の商品を販売開始。「原価が高いことから100円で売れない商品がある」(ワッツ担当者)として、販売する商品のラインアップを拡充するのが主な目的だ。同様にキャンドゥでも、20年7月から200〜500円の価格帯で商品を販売することを予定している。
一方のセリアは、今までもこれから当面も「100円均一」を貫くつもりでいるという。「100円の売価を崩さないのは百均にとってお客さまとの約束。値段を見なくても安心して買い物できるのがそもそものテーマ」と田中氏は話す。
データを駆使し、食品を販売しないなど、先進的な取り組みをしつつも百均の“原点”を守り続けるセリア。“安くておしゃれ”だけでなく、今後は「何を買っても1つ100円」という“安心感”も武器にし、どのような成長をしていくのだろうか。
関連記事
- 課長の平均年収は932万円、部長は? 外資との「格差」も明らかに
日本で活動する企業の報酬状況が発表。日系企業と外資系企業合わせて679社が参加した。調査結果では課長職や部長職の平均年収も明らかになった。日系企業と外資系企業の報酬格差も合わせて発表し、特に役職者以上で顕著な開きがあった。 - 「カード決済の場合には手数料をいただいております」、本当は違法? 知らなかった意外な事実
居酒屋などで、クレジットカードの決済手数料をお客に請求する店がたまにある。この手数料に関するツイートをきっかけに、「知らなかった」「違法なのでは?」といった反応が起こっている。手数料を請求することは違法なのか? 各カード会社の規約を見てみると……経済産業省にも聞いた。 - 新型コロナウイルス感染拡大でもイオンはマスク着用「原則禁止」維持 ディズニーなど各社の対応は?
新型コロナウイルスの感染が拡大しており、各企業は柔軟な対策が求められている。東京ディズニーランド、ディズニーシーではキャラクターと来園者のふれあい方法を一部変更。エン・ジャパンでは、採用面談をWebに切り替えるなどしている。マスク禁止で話題になったイオンは…… - 本当はやりたくない? メルカリ、マスク高額転売「緊急事態宣言」で漏らした本音
メルカリがマスク販売に関する「お願い」を発表した。新型肺炎の影響でマスクが品薄となり、メルカリ上での転売が増えている。今後は状況により、入手経路の確認や商品の削除などを行う可能性があるという。 - 少なすぎる残業に要注意! 組織を崩壊させる「粉飾残業」のあきれた言い訳と手口
2019年4月に施行された働き方改革関連法案で、大企業を対象に残業規制の強化がなされた(中小企業は20年4月施行)。すると、今までは多すぎた残業が、今度は少なすぎるという問題が起きているという。残業規制をかいくぐる悪質な「粉飾残業」とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.