食中毒事件を乗り越えてモスバーガーが復活 消費増税を追い風にできそうな理由とは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
「食中毒」事件で苦戦していたモスバーガー。しかし、マーケティングを刷新してから業績が上向き始めた。消費増税をチャンスにできそうな理由とは?
「ジャンボメンチ」の投入で反撃
売り上げ回復の起点となったのは「ジャンボメンチ」や現在発売されている「チキン南蛮」などの商品で、価格は300円台。価格が比較的こなれている。
これらは、日本で生まれ、日本で育ってきたハンバーガーチェーンであるモスバーガーにしかできないような独自性の高い商品を提案する「MOS JAPAN PRIDE」シリーズとして発売されたもの。米国のハンバーガーとは違うというわけだ。
「MOS JAPAN PRIDE」シリーズの第1弾として、19年9月、「ジャンボメンチ」と「海老天七味マヨが期間限定で発売された。
ジャンボメンチは日本生まれの洋食であるメンチカツを、バンズからはみ出すほどのスケール感のあるサイズで楽しむ、食べ応えあるハンバーガー。使用しているカツの重量は、定番の「ロースカツバーガー」の1.6倍。モス史上最大級のサイズを持つカツとなっていた。牛メンチカツのメンチは、牛のバラ肉やモモ肉などを合わせ、約9.5ミリの大きさで粗びきとした。
一方の海老天七味マヨは、代表的な日本料理の海老天を2本使用。ゆずの香りがする天つゆ風ダレに漬けられた海老天は、ザクリザクリとした食感。かんだ時の音までおいしいというのが特徴だった。日本三大七味唐辛子の一角を占め、京都で360年もの歴史を持つ「七味家本舗」の唐辛子を使用。この商品は和食を目的に来日する海外旅行者を狙った。
「MOS JAPAN PRIDE」第2弾となる「とびきりベーコン&チーズ〜北海道産ゴーダチーズ使用〜」が19年11月末に発売された。これもベーコンがバンズから大きくはみだす迫力あるフォルムで、年末だからこそ頑張った自分へのご褒美となるバーガーを、と訴えた。ベーコンは国産の桜の木のチップで燻製して、香り高く仕上げた。500円を超える高額品だったが、これもヒット。パティを2枚重ねた「ダブルとびきりベーコン&チーズ〜北海道産ゴーダチーズ使用〜」も販売した。
クリスマスには「モスチキン」がよく売れるが、これらの商品と合わせて購入する人が増えた。
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