食中毒事件を乗り越えてモスバーガーが復活 消費増税を追い風にできそうな理由とは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
「食中毒」事件で苦戦していたモスバーガー。しかし、マーケティングを刷新してから業績が上向き始めた。消費増税をチャンスにできそうな理由とは?
チキン南蛮の投入
そして、第3弾が1月23日に発売した「チキン南蛮」。これは、全国の店舗スタッフの投票により、過去に販売していた人気商品の1位を選び、復活させたものだ。宮崎県の郷土料理・チキン南蛮を独自にアレンジ。しょうゆダレに、静岡県焼津市産のかつお節粉と、北海道日高産昆布のエキスを加えることによって、うま味を引き出している。
同時発売で、酸味の効いたサワークリームソースを使った、斬新な「サワーチキン南蛮」も提案されている。
また、19年夏に発売した「黒いデス辛ソース」では、70円(税別)で購入する10グラムの小袋入りソースを用意。ハンバーガー、ボテト、チキンなど好きな商品にかけて、激辛にするというもので、激辛ファンの興味を引いた。
トッピング用商品ではあったが、100円未満と安価であり、世界で最も辛い唐辛子の1つ「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー」を使用したプレミア感があった。ハラペーニョの300倍辛いという。
こういった新しい商品の施策によって、モスバーガーは浮上することができた。
消費増税が追い風
10月の消費増税は、モスバーガーにはむしろプラスに作用している。もともとテークアウトの売り上げ比率が高く、55%を占めていた。しかし、消費増税後はさらに5%増えて60%くらいにまでなった。
店内で食べると税率は10%、持ち帰りや宅配だと8%であるが、これまで店内で食べていた人がテークアウトに移行する傾向が出ている。
また、食品デリバリーのウーバーイーツを導入している店では、既に売り上げの10%がウーバーイーツ経由となっている。また、導入店は国内約1300店中の240店ほどと2割に満たないが、着実に売り上げにオンされており好調である。
モスバーガーには、バンズの代わりにレタスでパティをサンドする「菜摘」、パティに肉を使わず大豆を使用した低脂肪・低カロリーの「ソイパティ」のようなユニークなベジ商品がある。ハンバーガーをサラダ感覚で楽しめるのも、このチェーンにしかない魅力だ。
消費増税以降のテークアウトやデリバリーのニーズ増加で、菜摘やソイパティが再評価されているとすれば、モスバーガーには朗報。もう少し、経過を見届けたい。
ところで、業界首位のマクドナルドは2月5日から、17時以降のディナータイム「夜マック」限定で、「ごはんバーガー」を発売。話題となっている。
これは定番商品の具材と味付けはそのままで、国産米の「ごはんバンズ」に挟んだもの。てりやき、ベーコンレタス、チキンフィレオの3種がある。
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