食中毒事件を乗り越えてモスバーガーが復活 消費増税を追い風にできそうな理由とは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
「食中毒」事件で苦戦していたモスバーガー。しかし、マーケティングを刷新してから業績が上向き始めた。消費増税をチャンスにできそうな理由とは?
ライバルの「ごはんバーガー」を歓迎
しかし、「ライスバーガー」の開拓者はモスバーガーだ。1987年から導入され、特に海外店で人気が高い。特に台湾では、日本の3倍売れるそうだ。
この突然のライバル出現に、モスフードサービスではむしろ歓迎ムードだという。
「今までライスバーガーの存在を知らなかったお客さまもいらっしゃいましたが、一気に認知度が高まりました。売り上げは増えています」(同社・広報)。
マクドナルドでごはんバーガーを食べた人が、今度はモスバーガーにも行ってライスバーガーを購入するケースが増え、相乗効果が出ている。実際、両者を比較する情報がネット上でも数多く見られ、ライスバーガーへの関心の高まりが感じられる。
これは思わぬ追い風で、他社も参入してくれば、ライスバーガー・ごはんバーガーのブームがやってくるかもしれない。
現状のライスバーガーは海老の天ぷら、海鮮かきあげ(塩だれ)、焼肉(店舗限定)の3種が販売されている。
モスフードは19年3月期の決算で、残念ながら当期純損失9億700万円の赤字に転落した。
しかし、20年3月期は一転。第3四半期までで、売上高520億8000万円(前年同期比3.6%増)、営業利益11億4100万円(同19.1%増)、経常利益13億900万円(同15.3%増)、当期純利益6億2200万円(前年は2億5600円の損失)と、回復を示す数値が並んでいる。消費増税など外食には不利な状況が続くが、今後の動向が注目される。
持ち帰りとデリバリーが好調なモスバーガーでは、イートインのお客が減っても、それをカバーできるくらいの需要を創出できるポテンシャルを備えているのだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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