新たな「和食」に名乗り ビーフンは“関ケ原”と太平洋を越えられるか:顕著な西高東低人気(2/2 ページ)
ケンミン食品が、ビーフン人気の向上に熱心だ。現在、ビーフンの国内市場は年間1億食ほど。年間に1人1食はビーフンを食べているとされる。しかし、同社によるとビーフン人気は顕著な西高東低。さらなる市場拡大のため、ビーフンは“関ケ原”を越え、太平洋をも越えていけるか。
また、1950年の創業から70周年、60年の焼ビーフン発売から60周年を迎えることから、さまざまな施策を用意している。各界の料理人と社長が対談し、ビーフンの新レシピを考案していく「ビーフン Power Session」や、各都道府県の食材を使った焼ビーフンの発売を予定している。
3月1日には「ケンミン焼ビーフン 幻のカレー味」(希望小売価格115円、税別、以下同)も発売する。カレー味の即席ビーフンはかつて「ケンミン即席カレービーフン」として販売しており、人気を博していた味だ。しかし、テレビCMを放映することで、カレー味ではない通常の「即席焼ビーフン」製造が追い付かなくなってしまった。そのため、泣く泣くカレービーフンの製造を中止したという過去がある。社内でも復活を待望する声が多かったことから再度販売へこぎ着けた。カレー味のビーフンは「シンガポールビーフン」と呼ばれ、中華料理店でビーフンを提供する際にはメジャーな味付けなのだという。
同じく3月1日から、60年当時の味を再現した「復刻版即席焼ビーフン」(115円)も発売する。当時は現在のチキンエキス、ポークエキスと違いかつおエキス、こんぶエキスを使用していたという。また、現行のケンミン焼ビーフン3袋に復刻版をおまけした「ケンミン焼ビーフン3袋復刻版焼ビーフン付」(345円)も発売するなど、新商品ラッシュだ。
太平洋も越えられるか
ケンミン食品が狙っているのは“関ケ原越え”だけではない。20年1月、米国で「ケンミン焼ビーフン」を発売した。
「欧米ではタイ料理などが人気。グルテンフリー食品にも注目が集まっている」と高村社長は話す。調味料は米国の輸入規制を受け、肉由来のものから魚由来のものへ変更。しょうゆも、日本で販売しているものは製造工程で小麦が入るが、「グルテンフリー」を意識して米由来のものにするなどのこだわりようだ。
「われわれはビーフンを中国や台湾から取り入れ、『日本ナイズ』してきた。米国では今、ビーフンは『マイフン』と呼ばれている。これを、われわれが進出することで『ビーフン』として広げていきたい」と高村社長は意気込む。
新たな和食の形として、ビーフンは関ケ原だけでなく太平洋も越えられるか。注目したい。
関連記事
- 課長の平均年収は932万円、部長は? 外資との「格差」も明らかに
日本で活動する企業の報酬状況が発表。日系企業と外資系企業合わせて679社が参加した。調査結果では課長職や部長職の平均年収も明らかになった。日系企業と外資系企業の報酬格差も合わせて発表し、特に役職者以上で顕著な開きがあった。 - いきなり!ステーキ大量閉店の裏で着々と牙を研ぐ「やっぱりステーキ」の不気味な存在
いきなり!ステーキが急ブレーキしている。出店計画を見直すとともに、44店舗の閉店を決定。売り上げも大きく落ち込んでいる。その裏で注目を集めているのが「やっぱりステーキ」という店だ。名前こそ似ているが、単なる「パクり」で片付けるのは早計か? - 「カード決済の場合には手数料をいただいております」、本当は違法? 知らなかった意外な事実
居酒屋などで、クレジットカードの決済手数料をお客に請求する店がたまにある。この手数料に関するツイートをきっかけに、「知らなかった」「違法なのでは?」といった反応が起こっている。手数料を請求することは違法なのか? 各カード会社の規約を見てみると……経済産業省にも聞いた。 - 一風堂が「ラーメン1杯でビール最大5杯無料」を急に変更 ドタバタ劇の裏側
一風堂がラーメンを注文するとビールがサービスされるキャンペーンを展開。8月19日から開始したが、開始翌日にキャンペーン内容を急遽変更。お客が殺到したことが理由とのことだが、どれくらいの反響があったのか? - 松屋が「シュクメルリ」を全国販売 外食チェーンに押し寄せる“珍”メニューの波、いずれも人気
松屋が1月14日から、ジョージアの料理「シュクメルリ」の全国販売を開始する。19年12月に一部店舗でテスト販売していたが、好評を博して全国販売へと踏み切った。「松屋世界紀行」というシリーズで、今後もこうした世界のメニューを展開することも予定しているという。松屋以外でも、世界の“珍”メニューの導入が始まっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.