「残業=絶対悪」なのか 良い残業、悪い残業 それぞれを生み出す組織の4パターン:あなたの組織はどのパターン?(2/4 ページ)
「残業好き」の記事を書いた筆者。反響は大きかったが、そのほとんどはネガティブなものだったという。果たして「残業=絶対悪」なのか? 良い残業というものは存在するのか? 組織のパターンごとに分析する。
「悪い残業」とは
唐突に出てきたように思える2つの名称は、フレデリック・ラルーの著書『Reinventing Organizations』(邦題:ティール組織)で紹介された概念だ。邦題の「ティール組織」とは、「1つの生命体」のようにメンバー全員で共鳴しながら行動する組織を指す。そもそも「ティール」とは緑と青の中間色のことで、書籍の中で紹介されるさまざまな組織モデルも「色」をモチーフにして命名されている。
レッド組織とは、圧倒的に強い力を持った個人による“恐怖支配”が特徴だ。いわゆる典型的なワンマン企業。レッド組織では、社員は奴隷のように扱われるので、長時間労働が横行することが多い。意味のない残業も多く、社員は疲弊するか、思考停止に追いやられていく。こうした組織で行われる残業を、「恐怖残業」と名付けたい。
アンバー組織は、「軍隊」のような階級制による「上意下達」の組織であるところが特徴だ。「昭和的」な組織といってもいいだろう。社員は、部長や課長といった上司に対して忠誠心を持つことが基本となる。アンバー組織では働き方改革なぞ無視され、残業が前提で仕事量が決められていることも多い。この組織で行われている残業は、「軍隊残業」と名付けたい。
レッド残業とアンバー残業は、まさに「悪い残業」といってもいいだろう。
難しいのが、「オレンジ組織」だ。オレンジ組織は、アンバー組織ほど厳格ではないが、ピラミッド型のヒエラルキーが存在する。個人はアンバー組織以上に、成果を上げることによって昇進できるが、それがゆえに過重労働のような労働問題を引き起こすこともある。残業文化が根付いており、同調圧力もあって、なかなか残業を減らすことができないのが、オレンジ組織といえる。日本企業にとっては、このような組織モデルが多いのではないか。この組織で行われる残業は「同調残業」と名付けたい。
同調残業は、「集団同調性バイアス」がかかった残業であるため、問題が根深い。「必要だから」ではなく「周囲もやっているから」という理由でオフィスに残って業務をするというのだから、思考停止している。筆者が過去、最も経験した残業がこの「同調残業」だ。いかにも「事なかれ主義」が横行する日本企業らしい残業だといえる。
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