「残業=絶対悪」なのか 良い残業、悪い残業 それぞれを生み出す組織の4パターン:あなたの組織はどのパターン?(3/4 ページ)
「残業好き」の記事を書いた筆者。反響は大きかったが、そのほとんどはネガティブなものだったという。果たして「残業=絶対悪」なのか? 良い残業というものは存在するのか? 組織のパターンごとに分析する。
「悪くない残業」とは
書籍『ティール組織』では、あと2つ、組織のパターンが紹介されている。「グリーン組織」と「ティール組織」だ。
グリーン組織は、各メンバーの主体性を尊重し、現場に十分な裁量を与える「ボトムアップ式」の意思決定プロセスが特徴だ。基本的には残業ゼロをめざすので、コンセンサスがとれないと残業はできない。
分かりやすい例でいえば「プロサッカー」だ。サッカーの試合は、前半45分、後半45分で基本的には終了する。それでもどうしても決着がつかなければ、前半15分、後半15分の延長戦に突入する。おそらくだが、選手の中で最初から延長戦狙いで試合に臨む者はいないだろう。90分で決着をつけた方が気持ちはスッキリするし、疲労も蓄積しないからだ。現時点における日本企業の理想形がこちらのモデルだと考えている。基本的には残業ゼロを目指し、突発的な仕事が来たとき、または繁忙期にのみ残業するという組織モデルだ。
ティール組織は、強力な権限を持つリーダーが存在せず、現場の社員が多くのことを決定するという特徴を持つ。ティール組織の重要なファクターの一つが「自主経営」。個人事業主のように、力強くセルフマネジメントできる社員がいることが前提の組織ということだ。従って、ベンチャー企業以外で、このような組織を持つ企業は“まれ”だといえるだろう。
ティール組織では、残業ももちろん本人任せ。法令順守の姿勢であれば、上長からの合意をとらなくてもよく、どの時間からどの時間までやってもいい。ティール組織での残業は「自主残業」と名付けたい。自分で自分の労働時間をコントロールするので、「悪い残業」とはいえないだろう。
関連記事
- 課長の平均年収は932万円、部長は? 外資との「格差」も明らかに
日本で活動する企業の報酬状況が発表。日系企業と外資系企業合わせて679社が参加した。調査結果では課長職や部長職の平均年収も明らかになった。日系企業と外資系企業の報酬格差も合わせて発表し、特に役職者以上で顕著な開きがあった。 - 少なすぎる残業に要注意! 組織を崩壊させる「粉飾残業」のあきれた言い訳と手口
2019年4月に施行された働き方改革関連法案で、大企業を対象に残業規制の強化がなされた(中小企業は20年4月施行)。すると、今までは多すぎた残業が、今度は少なすぎるという問題が起きているという。残業規制をかいくぐる悪質な「粉飾残業」とは? - 退職しない、できない日本 「井の中の蛙」化で昇給額も低水準
アジア5カ国、地域で行った雇用実態の調査が発表。日本の昇給額は低水準だった。部長クラスの年収では、中国に2倍の差をつけられるケースも。昇給額も給与も低い理由の1つは退職しない、できない点に? - 2020年版働きがいのある会社ランキングが発表 「働きやすさ」と「働きがい」を両立するためにどうすればよいのか
GPTWジャパンが「2020年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング」を発表。国内版は今回で14回目の発表となる。働き方改革の効果もあってか、「働きやすさ」が向上する一方で、「働きがい」に悩む企業が多いようだ。 - クレジットカード利用金額ランキング 2位は「JCBカード」 1位は?
クレジットカードに関する調査が発表。1000人を対象に、最も利用金額の多いカードが明らかになった。利用額や利用先から判断すると、便利さよりも「お得」を重視する人が多そうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.