新型コロナが“あの”外食チェーンを直撃 一方で松屋、スシロー、鳥貴族が順調なワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
新型コロナウイルスの感染が広がる。外食チェーンへの影響はどうなっているのか。各社の最新動向を探った。
苦戦しているチェーンは?
2月の既存店売上高が、前年同月比で下回っているチェーンもある。
テン コーポレーション「天丼 てんや」は98.2%(95.2%)、すかいらーくホールディングス「ガスト」など全業種は99.6%(97.6%)にとどまった。しかし、両社とも、19年10月の消費増税以降の景気後退局面で、2月は1月より売り上げが改善しており、十分に健闘している。
吉野家ホールディングス「吉野家」の97.9%(109.5%)を見ると、確かに2月が大きく落ち込んでいる。しかし、18年と19年の2年連続で、2月にソフトバンクのユーザーを対象に、牛丼(並盛)1杯が無料となるクーポンを提供する大型キャンペーンを実施した影響だという。
こうして見ると、特殊な事情がある吉野家を除き、2月には1月以上に好調に推移したチェーンが大半で、19年2月よりも業績が軒並み上がっているのだ。
この理由について、「閏(うるう)年で2月の営業日が、19年より1日多かった」「新しく天皇誕生日が祝日に加わり、休みの日が増えた」といったように、営業日が有利に働いたと複数のチェーンから聞かれた。
また、ドライブスルーに力を入れている日本マクドナルドに、非接触性の高さからドライブスルーの利用が増えたのかと聞いた。しかし「売り上げが上がった主因は、ごはんバーガーなどの新商品が好評だったから。特にドライブスルーのお客さまの比率が増えたわけではない」(同社・広報)とのことだった。
すき家や松屋などは、2月いっぱい実施された、「PayPay」のポイント還元キャンペーンの効果も顕著に表れている(40%還元)。
すき家は「クリームチーズ アラビアータ牛丼」、松屋は「シュクメルリ鍋」と、季節限定のヒット商品にも恵まれた。
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