新型コロナが“あの”外食チェーンを直撃 一方で松屋、スシロー、鳥貴族が順調なワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
新型コロナウイルスの感染が広がる。外食チェーンへの影響はどうなっているのか。各社の最新動向を探った。
インバウンドに強い店が苦戦
総合居酒屋と同様に厳しいのは、商業施設や、中国・韓国をはじめとする外国からの訪日観光客に依存している飲食店である。
「住宅街や駅前にある店舗はともかく、銀座、新宿、道頓堀のようなインバウンドのお客さまの比率が高い店は厳しい」(かに道楽)と顔を曇らせる。
海外で人気の豚骨ラーメン「一風堂」などを展開する力の源ホールディングスは、93.3%(103.2%)。銀座、浅草など、やはりインバウンドの比率が高い大都市都心店の売り上げ減の影響が厳しく出ている。
インバウンドで人気の一蘭が新たに提案する店舗で、普段は行列ができる「銀座一蘭」では、客室スペースを半分しか開けておらず、それも埋まらない時間帯があるほどだ。同店は素材を厳選して重箱で提供する「1杯1180円」(税込)の特別なラーメンを出す店として、19年10月のオープン時に話題になった。
浅草のアーケード商店街やその周辺部の人通りは、お店の店員たちに聞くと「普段の2分の1〜3分の1以下」と激減。飲食店では、1人か2人の顧客の貸しきり状態になっている店が多くなっている。
比較的顧客が入っているように見えた老舗居酒屋「ニュー浅草」本店でも、普段は2階まで満席なのが、1階のみの営業で空席が目立つほど。宴会のキャンセルも相次いでいるという。
イベントを自粛している商業施設に入居しているレストランも、施設自体の来館数が減って厳しい。近年、商業施設への出店を強化してきたリンガーハットは97.5%(98.1%)と、減少傾向だ。すかいらーくでも、観光地と共にショッピングセンターでの不振が足を引っ張って、売り上げが前年同月の水準に届かなかった。
東証1部上場のクリエイト・レストランツ・ホールディングスは「磯丸水産」のSFPホールディングスの親会社である。一方、商業施設に小じゃれた空間が特徴のカジュアルダイニングを出店してきた。例えば、「イクスピアリ」(千葉県浦安市)に約20店も集中的に出店している。
東京ディズニーリゾートの臨時休業に伴い、その玄関口にあるイクスピアリも、2月29日から3月15日まで臨時休業中だ。さらに延長されるようだと、莫大な減収は避けられないだろう。
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